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商業打ち上げの鍵になるか H-IIA204とETS-VIII衛星バス

2006年12月19日

上昇するH-IIA204型(2006年12月18日午後3時32分、種子島宇宙センターにて:松浦晋也撮影)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2006年12月18日午後3時32分、種子島宇宙センターから、H-IIAロケット11号機を打ち上げた。打ち上げは成功し、技術試験衛星「きく8号(ETS-VIII)」を静止トランスファー軌道に投入した。

10号機までのH-IIAロケットは固体ロケットブースター(SRB-A)を2本装備していたが、11号機はSRB-Aを4本装備する「H-IIA204」という構成を初めて採用した。静止トランスファー軌道に5.8tの衛星を打ち上げる能力を持つ。日本としては過去最大のロケットである。

打ち上げられた衛星「きく8号」も、日本としては過去最大の静止衛星。19m×17mの巨大なアンテナを2基装備しており、携帯電話サイズの小型端末を使った衛星通信実験や、測位衛星の基礎技術である衛星搭載原子時計の実証といった技術実証を行うことになっている。前者は、大規模災害時の通信途絶を防ぐシステムとなることを期待されている。後者は、将来的に日本が測位衛星を保有するために必要なもっとも基礎的な技術である。

実のところ、きく8号は、「このようなニーズがあるから」というニーズ先行で始まった計画ではなかった。また、H-IIA204も、前世紀末からの宇宙計画の混乱の中で、間に合わせ的に開発が始まった、その意味では場当たり的なロケットだった。

しかし結果として、今や両者は、日本の宇宙メーカーの海外市場への進出を考えた場合、重要な意味を持つハードウエアとなりつつある。

ロケットに合わせた試験衛星

H-IIAロケットの開発が始まった当初、SRB-A4本の204型という構成は存在しなかった。その代わり、SRB-A2本に加えてH-IIA第1段に使用されるLE-7Aエンジンを2基装備した液体ロケットブースター(LRB)を1本装備した「212型」というコンフィギュレーションを開発することになっていた。212型は静止トランスファー軌道に7.5tを打ち上げる能力を持つ予定だった。将来的にはSRB-AとLRBを各2本装備する「222型」というより強力な形式に発展する構想も存在した。

ETS-VIIIは、最初の212型打ち上げのために、212型の打ち上げ能力に合わせたサイズの衛星として、1999年から開発が始まった。JAXAは旧宇宙開発事業団(NASDA)の頃から、より大型のロケットを開発する際に、ロケットの能力に合わせた通信実験衛星を開発し、打ち上げるということを繰り返してきた。H-Iロケットの時は「きく5号(ETS-V)」を、H-IIロケットでは「きく6号(ETS-VI)」を開発し、打ち上げている。ETS-VIIIこときく8号も、「これまでと同じことを行う」という既存路線の延長線上に企画された。

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