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“セブン-イレブンもどき”では存在価値がない

セブン-イレブンはコンビニエンスストアビジネスのパイオニアであり、常にビジネスモデル改革の最先端を走ってきた。POS(販売時点情報管理)システムの導入による商品管理の高度化、ロジスティックシステムの改革による多頻度配送の実現、おにぎり・おでんなどの新商品の開発など、セブン-イレブンが実現したイノベーションは枚挙に暇がない。

そして競合企業は、競ってセブン-イレブンの改革の成果を模倣した。かつてのコンビニエンスストア業界各社の成功ファクターは、セブン-イレブンのビジネスモデルを効率よく模倣することに尽きた。この結果コンビニエンスストア業界は、事実上、セブン-イレブンと“セブン-イレブンもどきのコンビニチェーン”で構成されることになった。

“セブン-イレブンもどき”であっても、市場にすき間があり、セブン-イレブンと正面から競合しない段階では、それなりに成長することができた。だが市場競争が激化し、セブン-イレブンとバッティングするようになると、敗退の憂き目は免れない。

生き残りのためには差別化戦略が最重要

コンビニエンスストア業界において、セブン-イレブンの覇権は完成間近だ。セブン-イレブンと同じビジネスモデルで戦っても、もはや勝ち目はない。だが消費者が求めているものがセブン-イレブンだけかというと、決してそうではない。セブン-イレブンと異なるマーケティングコンセプトを提示できれば、セブン-イレブンと異なる市場を開拓できる余地はある。

例えば九九プラスが展開する「Shop99」は、生鮮食品を品ぞろえの中核にすえた新業態だ。ローソンが展開する「Natural Lawson」は、健康志向と女性のニーズに対応することを狙っている。セブン-イレブンとは異なる客層を取り込み、新業態として成功しつつある。

もちろんコンビニエンスストアの新業態を成功させることは容易ではない。あまりに斬新なコンセプトを打ち立てても、商品・物流などのオペレーションが構築できないし、中途半端なコンセプトでは消費者が評価しない。セブン-イレブンの模倣をしていればよかった時代に比べて、戦略を組み上げる難易度は格段に高くなっている。それでも生き残るためには、消費者に新たな価値を提供することが必要だ。

業界企業の再編淘汰が始まる

コンビニエンスストア市場は、限られたパイを奪い合う“ゼロサム時代”に突入した。競争はますます激しくなっており、営業現場の疲弊は深刻度を増している。各社の既存店売上高成長率は最近、軒並みマイナス5%程度。この状況が続けば加盟店の経営が維持できなくなる。

コンビニエンスストアチェーン本部の財務状態は比較的健全であり、破綻の懸念は少ないように思われる。だが、加盟店の経営が困難になればフランチャイズチェーンシステムが維持できなくなる。中堅以下の企業の多くには、危機が忍び寄っていると考えなければならない。

昨年はam/pmが外食業界大手のレックス・ホールディングスの傘下に入った。コンビニエンスストア業界における本格的な再編・淘汰がこれから始まる。

小屋 知幸

株式会社日本総合研究所主席研究員。早稲田大学卒業後、小売事業会社の経営企画スタッフを経て、1998年さくら総合研究所(現日本総合研究所)入社。経営コンサルタントとして各種事業会社の経営戦略・事業戦略に対する支援を行う傍ら、各種メディアで経営戦略・業界動向に関する分析・解説を行っている。著書『お払い箱のビジネスモデル』(洋泉社)ほか。

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