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現時点でテレビ局のコンテンツ供給能力は抜きん出ており、テレビだけではなく映画コンテンツの分野でも成功している。ネットメディアにコンテンツを供給し、ネットと一体化するビジネスモデルを構築することは可能であろう。それはネットメディアの発展を促すだけでなく、テレビ局にとっての、有望な生き残りシナリオとなるはずだ。

「広告を売る」ことに関する潜在能力は、おそらくネットメディアが秀でている。テレビ局は「コンテンツを売る」ビジネスモデルを目指すべきだ。

伝送路に固執すべきでない

今後の放送ビジネスを考える上で避けて通れない問題は、コンテンツ機能と伝送機能のどちらに軸足を置くのかという点だ。現在の地上波放送のビジネスモデルは、「コンテンツ」と「伝送」の両機能を自前で確保し垂直統合している。

今まで地上波放送の収益の源泉は、伝送機能にあった。地上派放送局は電波の独占利用権を持ち、放送コンテンツの唯一の伝送路を支配していた。だが伝送機能の価値は今後低下していくはずだ。地上波が唯一絶対の伝送手段ではなくなるからである。通信がブロードバンド化した現在、伝送路を持つことはだれでもできる。これに対してコンテンツの価値は高まる可能性がある。ネットメディアが発展すればするほど、コンテンツに対するニーズは高まるからだ。

今後の放送ビジネスは、地上波という伝送路に固執すべきではない。視聴者が求めているものは、“コンテンツ”であり“電波”ではない。視聴者は魅力的なコンテンツが得られるならば、それがどんな手段で伝送されようが構わないのだ。

テレビ局が「コンテンツ」と「伝送」の垂直統合への固執を捨てたとき、放送ビジネスには新たな可能性が広がる。ネットを含む多様なメディアにコンテンツを提供するビジネスモデルは有望だ。このときテレビ局は「広告配信業」ではなく、「コンテンツプロバイダ」のビジネスモデルへの革新を成し遂げるのである。

「放送業界」は、今回が最終回です。

小屋 知幸

株式会社日本総合研究所主席研究員。早稲田大学卒業後、小売事業会社の経営企画スタッフを経て、1998年さくら総合研究所(現日本総合研究所)入社。経営コンサルタントとして各種事業会社の経営戦略・事業戦略に対する支援を行う傍ら、各種メディアで経営戦略・業界動向に関する分析・解説を行っている。著書『お払い箱のビジネスモデル』(洋泉社)ほか。

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