このページの本文へ
ここから本文です

団塊世代と列車の旅〜これからというときに廃止したブルートレイン

2008年3月27日

(松本すみ子=アリア代表)

 2008年3月のダイヤ改正に伴い、夜行列車の「銀河」が廃止になった。テレビでは、最後の雄姿を見ようと大勢の鉄道ファンが詰めかけている様子が紹介されていた。それを見て、「もったいない」と思ったのは私だけではないだろう。これから旅を楽しもうとしている団塊世代にとっても、列車は魅力的な手段。一度は乗ってみたいと思っていた矢先に、「銀河」の方が先に定年になってしまった。

 今回は寝台夜行列車、いわゆるブルートレインに絡めて、団塊世代と列車の旅について考えてみたい。

“旅”をしなかった団塊世代

2008年3月14日に廃止となった寝台急行は、「銀河」(東京-大阪)のほかに「なは・あかつき」(京都-熊本&長崎)がある。その前にも、東京と長崎間を走っていた「さくら」や、東京と下関間を走っていた「あさかぜ」など、旅のロマンをかきたてるような名称を持った長距離列車が次々と消えていった。

「あさかぜ」には一度乗ったことがある。夜行寝台車というのに憧れて、中国地方を周るツアーに参加したのである。列車の中には有料のシャワー室があった。確か、100円か200円で10分くらいだったと思うが、お湯が出た。初めての寝台車の2階でなかなか眠れずにいたこと、窓から白々と明けてくる景色を眺めていたことを思い出す。

「風が吹けば、桶屋が儲かる」式にいえば、夜行列車の廃止は団塊世代にも責任がある。なぜなら、特に男性は現役時代、あまりにも“旅”をしなかったからだ。旅する大人が減ったことは、旅の雑誌にも影響を与えた。

たとえば、名物編集長でならした戸塚文子さんがつくり上げ、多くの著名作家が紀行文を寄せた月刊誌『旅』(日本交通公社(当時))は、今では新潮社に移り、若い女性向けのおしゃれな雑誌となった。旅雑誌を読む大人が減ったからだ。だから、名称は同じでも、この二つはまったく異なる雑誌である。

しかし、団塊世代は反論するだろう。「大阪なんかは毎月のように行っていたし、長崎だって、ほかの場所だって行ったことがある。海外にも行っている」と。確かに、仕事では頻繁に移動していた。しかし、出張はいわゆる“旅”とはいえないと思う。

自分が出張したときのことを思い出してみれば分かる。私の経験でいえば、支店や客先で打ち合わせをしていることが多く、ほとんど日帰りだった。たまに泊まるときには、名物料理を味わうために繁華街に繰り出した夜もあったが、その土地を楽しむというのとは程遠い。

(全 3 ページ中 1 ページ目を表示)

あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください

記事検索 オプション

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る