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団塊世代と自費出版〜ブーム再来? 団塊世代の人生総括はこれから

2008年3月12日

(松本すみ子=アリア代表)

一時の自費出版ブームが下火になろうとしている。不況傾向の出版業界にあって、比較的活況を呈していた自費出版部門。出版社はこぞって、自費出版事業に参入した。しかし、著者の思いにつけこむような手口や、自費出版専門出版社の倒産などが報道されるようになり、消費者も簡単には食いついてこなくなった。

では、時間とお金を持っているといわれる団塊世代は、自費出版にどう反応するのだろうか。今回は、団塊世代と自費出版の今後について考えてみたい。

自費出版ブームを支えたのは団塊以前の世代

“自分の名前が刻まれた本を出版する”。この輝かしい出来事を実現したいと思っている人は多いだろう。特に、人生の最終ステージが迫り、自分の生きた証を残しておきたいと思い始めた人には、とても魅力的な方法の一つだ。ただし、素人の原稿を本にし、流通ルートに乗せて販売してくれるほど、出版業界は甘くない。

そこに登場したのが、自費出版という手法だ。もちろん、昔から自前の資金で本を出すという方法はあった。しかし、高額な費用がかかるため、学者や経営者など一部の人に限られていた。最近の自費出版はそれとは違う。 まず、自費出版専門の出版社ができたこと。また、不況の出版業界にあって、収益を上げる可能性のある手段として、多くの出版社がわれもわれもと自費出版に力を入れた。それで競争が生まれ、以前よりもずっと安い費用で本が出せるようになった。さらに、出版社が新人作家の発掘のためのコンテストを開催するなどの動きもあって、自費出版ブームが起きた。

もちろん、生きた証を残したいと思い始めた高齢者の増加が、その背景にある。彼らは懐が豊かで、自分の本を出せるなら、それなりの負担もいとわない。自費出版というシステムのおかげで、“一度は本を出す”という遠かった願望が、実現可能なものとなったのである。

ただし、このブームに団塊世代はあまり関与していない。この自費出版ブームに乗った人は彼らよりもずっと前の世代ではないだろうか。団塊世代はまだ“お仕事中”であり、過去を振り返るほどの精神的な余裕も、金銭的な余裕もなかった。

考えてみれば、人生を振り返る、総括するなどいうことは、60歳の定年を迎えたからといって、すぐにやりたいことではない。昔と違い、心身ともに若く、まだまだ働く意欲がいっぱいの団塊世代は、当面は、この先、どのように生きるかを探ることに忙しい。現実のリタイア生活を実感して、自分の人生はこういうものかと達観するまでには、時間が必要なのである。

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