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求む、都会派ファーマーへの農業支援〜団塊世代とプチ農業(2)

2007年9月12日

(松本 すみ子=アリア)

前回は、定年退職者の増加により、さらに、家庭菜園や市民農園などで畑仕事を楽しむ“都会派ファーマー”が増えていくだろうと書いた。「就農する」とか「帰農する」といった大事(おおごと)ではなく、都会の生活を楽しみ、ほかのこともやりながら、リフレッシュのために取り組む「レクレーション型農業」である。

そうした要望に合わせて、従来の市民農園のほかにも、週末滞在型の市民農園(クラインガルテン)や、住宅地に位置する会員制の高級貸し菜園といった新しいスタイルの農園サービスが生まれた。農作業が面白くなった都会派ファーマーは、次のステップを求めるだろう。今回は、さらなる動きを予想してみた。

都心の農作業訓練所

大都会・東京のど真ん中、しかもビジネス街の中心・大手町に、農業をやってみたい人を育てるための地下農場があるのをご存知だろうか。人材派遣のパソナが運営している「PASONA O2(パソナO2)」である。地下農場は高層ビルの地下1階にある。このビル、もともとは銀行の所有で、地下は金庫だったため、壁や床は堅固な造りになっている。それを利用したのだ。

地下農場だから、太陽は利用できない。発光ダイオードやメタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプなどを使用し、栄養分を溶かした養液を用いて栽培する水耕栽培で、野菜や果物や、稲、ハーブなどを育てている。光や温度などの環境条件を人工的にコントロールすることで、天候や場所に左右されない生産を実現しているのだ。

とはいっても、この地下農場は野菜や稲を育てて、販売するために造られたものではない。派遣会社だから、農業に従事したい人に体験してもらい、訓練の場とすることが一番の目的だ。パソナは、ここで農業に関心ある人を育て、農業インターンとして派遣する事業も行っている。希望者は契約した農家で、約半年間の農業研修に参加する。2003年からスタートして、若年層からビジネス経験豊富な中高年層まで、今まで約100名が参加しているそうだ。

「PASONA O2」は、オープン時間内であれば、誰でも見学できる。農業や作物を育てることに関心がある人は、一度、見学してみてはどうだろうか。「やっぱり農業は太陽の下でなければ」という人も、未来の食糧問題を解決するかも知れない、新しい農業の形を見ることで、何かしら得るものがあるだろう。

就農や帰農は考えていなくて、家庭菜園や市民農園で農作業を楽しんでいる人たちも、知識と技術が向上すれば、面白くなって次に進みたくなる。自分で食べるくらいは自給自足をしたいと思う人も増えるだろう。また、都市部での農作業を新しいビジネスととらえる人も生まれるだろう。

前回の記事に読者がコメントしてくれたように、「こういう人たちこそ農協はターゲットとすべき。農業指導をしてはどうか」という発想は、案外、的を射ているかもしれない。今後は、都会派ファーマーへのサポートビジネスが大切になってくる。

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