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団塊世代と生涯学習(1)〜“人生第2の就学期”が始まる

2006年7月13日

“ミネルバのフクロウは日暮れに飛び立つ”

不思議なことに、人は自由な時間ができると、何かを「学ぼう」、「習いたい」と思いたつ。たっぷり時間のあるシニア世代は、好奇心も学ぶ意欲も旺盛。カルチャーセンターはずいぶん前から、シニア世代の居場所となってきた。単なる娯楽で時間をつぶすのとは違い、人間が本来持つ向上心を満足させてくれるからだ。

これから定年を迎える団塊世代も、多くが学びの場へ向かうだろう。まさに、“第2の就学期”とも言うべき現象が生まれている。7歳から始まる義務教育を含んだ“第1の就学期”は、社会で生き抜いていくための基本を学ぶ場だった。これは与えられたもので、選択肢はほとんどなかった。

“第2の就学期”は、自分自身の生きがいを達成するため、やり残したことを実現するため、ライフワークを見つけるための学びである。こちらの方が、学習者の向学心はだんぜん旺盛だ。

ギリシャ神話で、学問や知恵、技術などを司る女神ミネルバ(アテネ)の象徴となっているのがフクロウだ。ドイツの哲学者・ヘーゲルは「ミネルバのフクロウは日暮れに飛び立つ」と言っている。つまり、知性は、人生の日暮れどきになってようやく飛び立つというのである。

年を取れば肉体は衰える。しかし知性は、衰えることなく、さらに蓄積されていく。判断力や分析能力は、年を取ってからの方が高まる。若いときには理解できなかったことが、年月を経て理解できるようになるのはよくあることだ。これまで以上に知識や技術を蓄えて自身を向上させ、その成果を社会に向けて役立てたいとするシニア世代が増えていくことは間違いない。

団塊世代の獲得に積極的な大学

シニア向け生涯学習ビジネスは、これからも大いに期待できる。中でも、動きが目立つのが大学である。少子化により大学は、18歳から22歳くらいまでの若者だけを対象にしていては成り立たなくなった。学習意欲の旺盛なシニア世代へのアプローチは必須事項だ。

話は少し外れるが、欧米などの大学では、“教師かと思ったら、学生だった”というような年齢の学生がたくさん歩いている。一度社会に出てから、さらに専門知識を高めるために入学してくるのだそうだ。日本の社会では、こういう学びと働きの相互作用が実現しにくかった。そのため、リタイアする年齢になってから「大学の授業を受けてみたい」、「もう一度大学で学びなおしたい」という願望を持つ人が多いのかもしれない。

多くの大学が既に、エクステンションセンターやオープンカレッジなどという名称のカルチャーセンター的コースを設けて社会人を受け入れている。最近はこれに加えて、学部や大学院に中高年枠を設定し、正規の学生として受け入れる動きが出てきた。

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