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リタイア男性の料理ブーム

2005年6月8日

50〜60代が集うNPOを主宰したり、シニア世代を取材したりという仕事をしているので、定年直後の男性にお会いする機会が多い。最近、この年代の人たちの話を聞いているうちに、あることに気がついた。リタイア男性が、かなりの割合で料理教室に通っているのだ。

書店には、「男の料理」というタイトルがついた料理本でコーナーができているほど。この傾向、果たしてブームなのだろうか。

男たちが料理教室に通うわけ

知り合いの50〜60代の男性が料理教室に通うようになった動機をいくつか挙げてみよう。

まず、A氏。彼は定年後、「何かしなければ」と思ったとき、最初に浮かんだのが料理だったと言う。奥さんはまだフルタイムで働いているので、料理くらいは自分で作ってみるかという気持ちになった。日本の男性の多くはご飯と味噌汁が好きかもしれないが、彼はこってりしたフランス料理が大好き。自分の好きな料理を心おきなく作って食べたいと思った。

次に、B氏。定年までは料理も家事もほとんどしたことがない。しかし、料理好きな奥さんの方は、いつか店を持つことが夢。定年を機に奥さんの希望を受け入れ、飲食店を開くことになった。そのとき、何もできない亭主を心配して奥さんが勧めたのが料理教室に通うこと。とはいえ、開店後の調理担当は主に奥さん。B氏が店で腕を振るうことはない。

C氏とD氏。どちらも50代で奥さんを亡くした。C氏はその後、自分が食べる程度の料理はしていた。しかし、このままでは生活が不規則になると再婚を決意し、その後はもっぱら妻の手料理。定年後、料理教室に通うようになったのは、料理を楽しみたいと思ったから。しかし、実は、また一人になっても困らないようにという思いがどこかにある。

D氏はずっと独身生活。寂しさを紛らわすために、定年後は手当たり次第に習い事に手を染めた。料理教室はその一つで、通ううちに腕が上達した。友人を集めて、自ら料理教室を開催するまでに。今後は、老人宅に食事を差し入れる、食事サービスのボランティアをしたいと思っている。

B氏は少し事情が違うが、どの人も、いまからプロの料理人になりたいというわけではない。だから、料理師専門学校ではなく、「ベターホーム協会」の男性クラスや、「男子厨房に入ろう会」など、仲間づくりもできる料理教室が人気だ。ちなみに今は、そば打ち教室も人気で、ほとんど“男性専科”と化している。

面白いのは、現役時代は仕事一筋、料理はもちろん家事もほとんどしてこなかった男性たちが、定年になった途端に「趣味は料理」になることである。これはどうしたことだろう。定年後、何かしたいと思ったときに真っ先に思い浮かぶのが、生きるための基本である料理、つまり“食”だったということではないだろうか。これはとても興味深い。

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