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メンツよりも“実”をとるべく広い視野で捉えたい

国際社会においては、他国にどう見えるかを意識できないようでは、他国に日本をどう見せるかはもちろんのこと、さまざまな言動を通じての他国の意思表示やサインを日本だけが認識できない、などということにもなりかねません。外交という局面での国家間の「サインの読み合い」のレベルは、われわれ日本人が普通に想像している以上に高度なものがあると思います。

今回のアンケート結果、特に自由記入欄の内容から感じられたのは、もちろん例外もたくさんあるのですが、「日中や日韓といった二国間の問題に矮小化されてしまっている」、「日本国内の論理を他国との関係の中でも通そうとしている」ということでした。

靖国参拝に賛成であるにせよ、反対であるにせよ、その理由を歴史的経緯を踏まえてもっと深く考えるべき時なのではないかと思います。少なくとも、「ここでやめたら、中国や韓国の言うことを聞いて屈服したことになる」とか、「政教分離の原則に外れているのでやめるべき」というような、狭い範囲だけで考えるべきではないと思います。

参拝をやめることに外交的意味をどう持たせるか、あるいは続けることで何を世界に伝えるか、という観点が不可欠でしょう。さらにそこには、国際社会の経済発展と平和維持へのはっきりとした日本のスタンスが見えているべきでしょう。

経済的な観点からは、巨大な中国市場が急速に立ち上がっている、という背景があるわけで、この点では日本と中国の立場は、これまでとは違ったフェーズに入っていることは間違いないでしょう。中国の反日的な行動にも、この両国関係のフェーズの変化をベースにした意味があると考えるべきでしょう。つまり、「商売を考えたら、日本は中国をないがしろにできないはず」という思いが横たわっているわけです。これを意識したうえで、思いに対するカウンターとなるべき一手、周辺各国に及ぼす影響も踏まえた一手を考えていかなければならないのだと思います。

現在、テレビや新聞といったマスメディア、あるいは政府などでは、「“今年は”参拝しない方が良いのでは」というような論調が目立っています。冒頭でも触れたように、賛否は状況によって変わる可能性があります。今後も、nikkeibp.jpではこの問題について継続的にウオッチしていこうと考えています。なお、今回の結果について、立花隆氏にコメントをいただきましたので併せて掲載しておきます。

(調査:日経BPコンサルティング、まとめ:nikkeibp.jp編集長 田邊 俊雅)

【立花隆氏のコメント】

日本の若い世代には、靖国問題を語るための基本知識があまりにも欠けている。

第一に、日本の若い世代には、日本の近現代史の知識が根本的に欠けている(学校における歴史教育が意識的に近現代史を避けてきた)。

第二に、靖国に関する基礎知識に欠けている。靖国には本当の戦争犠牲者たち、全国の空襲で死んだ人々、ヒロシマ、ナガサキの死者、サイパン、沖縄で死んだ民間の人々など、ほとんどが祀られていない。靖国と諸外国の戦没者記念碑の性格があまりにちがうため外国の公式使節は靖国にお参りしない。靖国に祀ってもらいたくない人々も靖国は勝手に祀ってしまって祭神にしてしまい、戦争犠牲者追悼を一手専売でやっているかのごとく見せかけているが、そのウソに大半の人は気づいていない。

いま日本の若い世代には偏狭なナショナリズムがどんどん浸透しているようだが、このままいくと近い将来、面白くない近隣諸国に対して、戦争やるべしの声すら出てくるだろう。60年経って社会からリアルな戦争の記憶が失われ、歴史が与えた教訓ががかき消えようとしている。日本がもう一度大火傷するのは、もうそう遠くないのかもしれない。

【調査の概要】

調査期間 2005年6月22日(水)12:00〜 23日(木)17:00
調査テーマ 靖国参拝、賛成、反対?
回収件数 3902件
告知方法 nikkeibp.jp の朝刊、夕刊メール nikkeibp.jp 総合ページ、ライフスタイルページのバナー
調査企画 nikkeibp.jp 編集/日経BPコンサルティング 調査第一部
調査実査 日経BPコンサルティング 調査第一部

【回答者属性】

性別 男性:91.0%、女性:9.0%
年齢 29歳以下:12.4%、30代:30.4%、40代:25.7%、50代:17.2%、60歳以上:14.4%

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