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 子どものころ、病弱な母親に育てられたアンジーは、貧しさを知っているんです。だから、現在の自分とは境遇が違っても、貧しい人への関心を忘れない。それって、「コンパッション」ですよね。

僕は東大で学生自治会の承認を得た自主ゼミの講師をやっていますが、前期では普通は目に入らない社会問題の当事者を招いて話してもらったんです。ユニークフェイスという顔に傷のある人、レズビアン、ニートから起業した人…。

マイノリティで弱者だからマスメディアになかなか紹介されない存在だからこそ、学生には「この人と自分との接点を探せ」って言いました。

相手の立場を想像したり、共感したりする力をつけて、自分が社会の中で何を問題として認知するのかという感性を養った後、後期では社会起業の担い手を招いたんです。

コトバノアトリエ」の山本繁さんやWWBジャパンの奥谷京子さん、『Newsweek日本版』の「世界の社会起業家100人」に選ばれた「The You」の川田利典さんなどをね。

今 一生氏

川田さんは不動産屋でバイトしてたとき、みんなが知ってる会社で働いて年収が大家より1ケタ以上の黒人の紳士が来店したの。すると上司が「黒人だから大家がダメ」って断った。そこで川田さんは「おかしい!」って感じた。

やがて「トラブル処理は全部こちらでやります」と大家に約束する形で、3万円の管理費を外国人入居者からもらう入居支援サービスを始めたら、300人もどっと来たんです。ミッションはコンパッションから始まるんですね。

でも、ゼミにゲストを毎回招くと、自治会予算では赤字です。かといって当局公認ゼミでは東大生しか受講できない。どうせならゼミ内容をインターネットで公開し、全国に社会起業の種を撒くと同時に社会起業の一般認知を早めたい。

だからゼミの運営コストを受講生と僕が一緒に社会起業を興すことで賄う実践型ゼミの企画書を書いて、東大総長の秘書に連絡取って12月中旬にメールで送ったんです。

東大には「学生アントレプレナー道場」というのがありますが、学生に聞くと「春に130人いた受講者が今では60人程度」で、「企業とは何か」という話で1コマが終わる一方的な講義スタイル。僕らがやりたいのは違う。社会起業の方々の実体験に触発されて議論を重ねるほうが起業意欲に火をつけるんだと。

東大生以外も参加できるなら、親がいなくて学費が払えず、職業選択の自由がない子でも参加できます。新しいゼミを小宮山総長と理事会がどう評価してくれるのか、返事を受講希望者やネット市民たちと一緒にワクワクしながら待っているんです。

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