今 社会起業家支援を手掛けるNPO法人「ETIC.」のサイトを見ていると、中流資産層、それも「中の上」の家庭出身者だけしか社会起業の担い手になれないような印象があるんです。
食糧自給率の低下が深刻な日本では、農や食を支える地域の再生問題のほうがむしろ切実なんですよ。だから田舎ほど自分が見過ごせない問題にちゃんと気付いてて、問題に直面している当事者としての意識から社会起業するんです。
一方で、極私的な体験から社会起業を始める人もいます。
ユナイテッド・ピープルの関根健次さんは、イスラエルを旅したときに「イスラエル人を殺す」と真顔で言う少年に出会って、そういう子が普通の夢を見られる世界を作りたいと思って「イーココロ!」っていうサイトを作りました。このサイトを通じて楽天などのネット売買をするだけでNGOに募金できるんです。
渡邊 素晴らしい仕組みですね。広く知らしめるのはメディアの役割ですね。
日本のメディアや“セレブ”は、関心がまだまだ薄い。
今 だからメディアに対して教育していくつもり。そういう意味では、中田英寿さんが『クーリエ・ジャポン』で「持続可能なソーシャルビジネスが、これからの世界のスタンダード」「まずやってみることが大切」って言ってくれたことの影響力は大きいです。
渡邊 その記事の内容については聞きました。一般の人たちに大きな影響力を持つ彼のようなセレブリティが代弁してくれることは重要ですね。ノブレス・オブリージュならぬセレブリティ・オブリージュだと思います。
今 もちろん、サッカーによる社会貢献は彼にしかできないけど、特別な人しか社会起業を始められないという誤解を与えちゃいけない。若い人に「君にもできる」と思わせてほしいんです。僕は日本の若い社会起業家やその予備軍を広報面で支援していきたいので、「世界の中田」さんから連絡がほしい。
天上人のようなスターも、僕らと同世代に生きていて、今ここにある問題の解決に取り組む仲間だという姿を見せてもらえれば、不勉強なマスメディアも動かせる。
そんな空気が広まれば、富裕層・中流層だけでなく、自殺まで思い詰める低所得者層にまで社会起業への関心が一気に広まるから。若い友人の葬式には、もう出たくないです。
(第3回に続く)
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