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レスリング 吉田 沙保里(後編)〜手のひらの察知力

(取材・文=荒川 龍 写真=小川 拓洋)

 8月開幕の北京五輪に向けた日本代表応援企画「北京五輪への道」。第七弾は、女子レスリング日本代表の吉田沙保里を取り上げる。

 前回は、吉田選手の連勝記録がストップした試合の分析から、彼女がいかに弱点を克服し、現在に至るのかを紹介した。今回は、強さと弱さの関係から、栄和人レスリング女子日本代表監督の指導者観についても聞く。マネジメントに悩む管理職にも示唆に富むはずだ。

強さの追求には終わりがない

── 今年1月の敗戦について、無敵と言われていた吉田選手に、負けることへの恐怖心がふくらんでいたのではないか。それは対戦相手以上に、彼女にとって大きな敵だったのではなかったのかと、栄に尋ねてみた。

 僕も、強さと弱さとは紙一重だと思います。吉田には「いつかは負けるかもしれない」という恐怖心もあっただろうし、反対に、負けたことで、次は気をつけなきゃいけないという慎重な自分ができてくるから、今度は強くなるかもしれない。

敗戦時の彼女の涙については、連勝記録を止められたことの精神的な落ち込み。彼女自身、北京五輪までは負けたくないと口にしていたわけですから。また、連勝記録が伸びることで周りの人間が喜んでくれる。それが彼女のモチベーションだったから。その2つが断たれた悔しさが、涙となったんだと思います。だけど、時間が過ぎていく中で、五輪連覇という目標があると、気持ちを切り換えられたことが救いですね。

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