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海外の年金事情から見た「年金」問題(2)〜少子高齢化の行き着く先は“欧州式”年金制度が現実的

2007年6月27日

(荒川 龍=ルポライター)

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社保庁民営化の議論は本質を見誤っている

■自民党は今回の問題への対策として、社保庁解体と、非公務員型の日本年金機構の設立法案を提出しています。これについて、どう思われますか?

駒村 「民営化すればうまくいく」と言わんばかりの最近の議論は、本質を見誤っていると思います。民営化という選択肢を否定するつもりはありませんが、それはあくまで手段の一つであって、目的ではありません。手段と目的を混同してはいけません。

社保庁を民営化後に6分割するともいわれていますが、かなり工夫しないと危険ですね。むしろ横の連携がとれずに、今以上に非効率で無責任な結果になってしまう危険性があります。たとえば、年金の適用と徴収する組織が一つでないと、年金徴収の時点で年金制度を適用できる人が見つかっても、自分の業務ではないからと見過ごしてしまうとか、その逆に、適用の時点で徴収できる人が見つかっても放置してしまうような事態が想定されます。

■社保庁改革における目的と手段の混同について、もう少しご説明いただけませんか?

駒村 社保庁、もしくはその後継組織は、次の5つの業務をしっかりやることです。まず、年金保険の適用者を正確に把握すること。その上で、年金保険料の徴収対象者の保険料をきちんと徴収すること。年金記録を正確に管理すること。年金記録の情報をきちんと国民に提供すること。正確な給付を行うことです。

それらをしっかりやるために、民営化という方法が適切かどうかを検討すべきであって、民営化をやれば自然とうまくいくということではありません。たとえば、国税庁は、別に民営化しなくても税金の徴収業務をきちんと行っているわけですからね。社保庁だけは民営化しないと、通常業務さえできないというのはおかしいでしょう。

■仕事の仕方がいい加減だから民営化するというのは、短絡的だということですね。一方で、民主党が社保庁改革案として、社保庁の年金徴収業務と国税庁を合体させ、内閣歳入庁を設置する法案を提出しています。

駒村 先ほども言いましたが、内閣歳入庁を設置している国もありますから、その考え方は理解できます。税金や保険料といった国のお金を集める省庁と、それを使う省庁を明確に分けようということです。歳入庁ができれば個人の所得補足が分かりやすくなる分、税金も保険料も取りっぱぐれがなくなる長所もあります。

また、最近の社会保障改革により、保険か目的税かがよく分からなくなっている現実もあります。たとえば、会社員は8%の医療保険料を毎月徴収されている。そのうち3.5%は高齢者の医療費としてすでに使われていて、実際には将来の保険料の給付にはつながっていません。それなら、歳入庁で税として集めようという考え方はよく分かります。

しかし、国のお金の集め方を変えるというのは国家財政の改革であって、社保庁改革や、ましてや厚生労働省から社保庁への天下りを減らすといったレベルの議論とはまるで次元が違う。それを社保庁改革と位置づけている民主党は、内閣歳入庁構想の持つ重みや目的を理解しているのか疑問です。

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