ビジネスパーソンの年金〜なるべく支払わない“改正”進む
(諏訪 弘=フリーライター)
「ビジネスパーソンのお金」では、税金と医療費の負担増について述べてきた。最終回となる今回は「年金」を取り上げる。「宙に浮いた5000万件もの年金データ」の大ニュースの陰には、国民年金(基礎年金)の負担増や、遺族厚生年金の目減りによって生じる医療保険・介護保険の自己負担増など、ビジネスパーソンにとって看過できない様々な問題が潜んでいる。
「年金データ不明」の大ニュースの陰に、重要な年金改正が
今年(2007年)4月、政府は年金改正を実施した。昨今大きく注目を集めている、5000万件(5000件に非ず)もの年金データ不明という大ニュースの陰に隠れがちだが、この改正の中にはビジネスパーソンが注目すべき内容が含まれている。以下に改正項目を列挙しておこう。
(1)70歳以上で会社勤めをしている人は、老齢厚生年金の全額または一部の額が支給停止となる場合がある。
(2)65歳時点で年金を受ける必要のない人は、老齢厚生年金を66歳以降に繰り下げることで増額して受けられるようになる。
(3)遺族厚生年金制度が見直される。
(4)離婚時の厚生年金の分割制度が導入される。
(5)本人からの申し出により、年金を受け取らないことができる。
(6)国民年金の保険料額が改定される。
(出所:社会保険庁)
それぞれの詳細については社会保険庁のWebサイトをご一読いただくとして、ここでは現役のビジネスパーソンにとって影響が大きいと思われるものに的を絞って概略を述べていこう。
70歳以上で会社勤めの人は、年金が減る可能性
まずは(1)の「70歳以上で会社勤めをしている人は、老齢厚生年金の全額または一部の額が支給停止となる場合がある」について。これは、現役世代の負担を減らして世代間の公平性を保つという名目のもと、経済力のある高齢者の老齢厚生年金の一部または全部を支給停止にするものだ。対象となるのは「1937年4月2日以降に生まれた人」で、かつ「老齢厚生年金の基本月額(※1)と総報酬月額相当額(※2)の合計が48万円を超える人」だ。
※1【老齢厚生年金の基本月額】加給年金額を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分の)月額
※2【総報酬月額相当額】(その月の標準報酬月額相当額)+(その月以前1年間の標準賞与額相当額)÷12
「その月以前1年間の標準賞与額相当額」とは、その月の前月までの1年間に受け取ったボーナスの額のこと
支給停止後の年金支給額は、
老齢厚生年金の基本月額-(老齢厚生年金の基本月額+総報酬月額相当額-48万円)÷2
の式で計算する。仮に、老齢厚生年金の基本月額が10万円、総報酬月額相当額が50万円とすると、支給額は4万円になる計算だ。
10万円-(10万円+50万円-48万円)÷2=4万円
昨今の企業の中には定年を延長したり、スキルの継承を目的に積極的に高齢者を再雇用する例も増えている。「1937年4月2日以降に生まれた人」は雇用条件をよく確認しておこう。
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