入学して間もなく、加山先生に呼びつけられたことがある。
「あっ、何かまずかったかなって……。ところが、とびっきりの自慢になっちゃうけど、『あなたに日本画界の刺激になってほしい』と言われちゃったんです!」
そう話す様子はほんとうに嬉しそうだ。それまで数々の賞は受賞していたものの、画家を目指すことを父に否定され、絵のテーマは人物中心というアメリカでは、自然だけを描くことを大学に否定されてきた。絵描きとしての自分を丸ごと受け入れられた初めての体験だった。日本画界とのしがらみもない、技法への固定観念もない彼に、作品だけで勝負する姿を見せて刺激を与えてほしいと言われたと解釈した。
絵を描いていない自分が想像できないほど、今も絵に没頭する。しかし、アメリカ時代には何度も絵を続けることに悩み苦しんだ。なぜ、障害を乗り越え、貫き通すことができたのだろうか。
「『絵描きになる』っていう目的を見失わなかったことかな。強い思いとか、気持ち。結果論だけど、それで乗り越えたときに強くなった。壁を乗り越えて得るものってありますね」
最も大きな理由は、自分を信じる強さなのかもしれない。(次回はこちら)
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