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クレームは「人との出会い」 ハマれば「顧客」に変えられる〜コミュニケーションインストラクター 浦野 啓子氏

2007年9月18日

(鈴木 ウサ=フリーライター)

(前回「誠意を持って話を聞く」はこちら

 浦野啓子さんは全国でコールセンター研修を行う、クレーム対応の専門家だ。コールセンターは消費者からのクレームの矢面に立つ、クレーム処理の最前線。一日中、クレームを聞き、対応に追われる仕事は精神的なダメージが大きい。しかし、クレーマーも人間である。ちょっとしたテクニックで、10のクレームを8や7に緩和させることはできる、と浦野氏。さらにうまく対応すれば、クレーマーを顧客に変えることさえあるのだという。そのためのノウハウの基本を聞いた。

■いわゆる「クレーマー」(クレームをつける人)が増えているとの実感は、コールセンターなどクレーム処理の担当者の間では広がっているのか。

浦野 啓子(うらの・けいこ)氏
東芝商事を経て、対話総合センター入所。上級インストラクターとして企業や団体で社員教育を担当。その後、コミュニケーションインストラクターとして、社員研修を手がけている。著書に「電話の応答が3時間でマスターできる」「クレーム対応の基本がしっかり身に付く本」など。

浦野 コールセンターを抱える企業や地方の商工団体からの、クレーム対応についての研修依頼が、急速に増えている。

東芝クレーマー事件()のあった1999年ころを境に、「クレーマー」という言葉が浸透し、一般の人の間に「クレームって言っていいんだ。言えば企業に謝ってもらえるんだ」との認識が広がった。私が研修に行く先々で聞く現場の声を総合すると、日本人の中に「クレーマー人」――とでもいうべき新しい人種が登場した。そのくらい、消費者が変化しているととらえるべきだ。

※:1999年、東芝製ビデオデッキの修理をたのんだ男性が、顧客サポート担当者に問題があったとして、そのやりとりをインターネット上で公開。東芝に非難が集中した。副社長(当時)が男性に謝罪することになった(関連記事)。

「客だから大切にしてもらえるはず」という期待がある

浦野 その背景には、だれもが抱えている「人から大切にされたい願望」が潜んでいると私は見ている。

家族で食卓を囲まなくなり、職場で飲みに行くなどの対面コミュニケーションの機会が、年を追うごとに減っている。すると、どこまで何を言うと相手が怒るのか、傷つくのか、推し量る訓練の足りない人が増えてしまう。人の言うことに傷つくと、「自分は大切にされていない」と感じて、恨みや鬱憤をため込んでしまう。

でもコミュニケーションの場が少ないから、溜まった鬱憤を吐き出す機会がない。そこで、「そうか、企業のお客様相談センターがあった。ここなら自分は客なのだから、大切に扱われるはずだ」と気づき、コンタクトを取る人が増えたのだろう。

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