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正規社員の非人間的な働かされ方を見直せ

2007年8月31日

(荒川 龍=ルポライター)

(前回「整理解雇は認めるべきか」はこちら

今回は中高年正規社員の「年功特権」の是正と、「ホワイトカラー・エグゼンプション」についての八代尚宏・国際基督教大学教養学部教授の見解を踏まえて、引き続き3人の専門家の意見を紹介する。

Q3)「若年層の雇用抑制は、年功賃金の正規社員が手厚い規制に守られているせいだ。不公平な格差是正という観点から、正規社員の『年功特権』の見直しが必要。終身雇用と年功賃金の恩恵を受ける一方で、長時間労働を強いられる正規社員と、労働時間は短時間だが不安定雇用な非正規社員の待遇は、両方とも極端。正規社員の『年功』部分を是正することで、賃金は正規社員と非正規社員との中間に合わせるべきだ」という八代氏の見解について、どうお考えですか?(こちらもご覧ください Q1/Q2/Q4

「正規社員の総額人件費を巧みに抑えようとする意図を感じる」

NPO法人派遣労働ネットワ―ク理事長の中野麻美さんは、八代氏の見解について、「まるで本末転倒」と言う。

「平均年収200万円以下と言われる非正規社員の賃金に、正規社員のそれを近づけるという発想そのものが非現実的ですよね。人間が生活に展望を持てるだけの賃金水準が、きっと八代さんの頭の中にはないんだと思います」

実際には、正規社員からも『年功』賃金の部分が削られたとか、労働条件を不利益変更されたという相談事例が、彼女のNPOでも増えてきているという。

「むしろ、非正規社員の正規社員化を進めるべきなんです。八代さんの見解は、非正規社員保護の立場であるかのように装いながら、最終的には正規社員の総額人件費を巧みに抑えようとする意図が感じられます。『若年層の雇用抑制は、年功賃金の正規社員が手厚い規制に守られているせいだ』という言い方で、彼ら非正規社員に正規社員を『仮想敵』視させ、正規と非正規間の対立をいたずらに煽りながら…」

一方で中野さんは、正規と非正規社員の格差問題は、むしろ正規社員の非人間的な扱われ方の是正を含んだ、抜本的な見直しが必要だと指摘する。

「正規社員は安定的な長期雇用を保証されている半面、平日は家族との団らんを持てないほどの長時間就労を強いられ、単身赴任や転居を伴う転勤も拒めません。どちらも非人間的な扱われ方で、それが嫌ならば、雇用が不安定で低賃金な非正規社員として働くしかない。そういうアンバランスな働き方の選択肢しかない点こそ是正されるべきです」

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