テイクアンドギヴ・ニーズ:市場を創造し参入障壁を築く
(竹内 祐二=日本総合研究所 企業革新クラスター 主席研究員)
「生まれ変わったら、私もこんな結婚式を挙げたい」。テイクアンドギヴ・ニーズ(T&G)のハウスウェディングに参列したお婆ちゃんは、しみじみと言った。
ハウスウェディングとは、文字通り一軒家を借り切った結婚式である。今や、ホテル、専門式場、レストランウェディングと並ぶ第4の結婚スタイルとなった(会場別市場シェアは図1参照)。今回紹介するT&Gは、若者の潜在的なニーズに応えてハウスウェディングを事業化し、結婚式場ビジネスにイノベーションを起こした企業である。1998年に創業し、3年後の2001年にナスダック・ジャパン(現ヘラクレス)市場に上場。創業8年目の2006年に東証一部上場を果たした。
-テイクアンドギヴ・ニーズの企業概要-
・ハウスウェディングのパイオニア
・売上高339億円(2006年3月期)
・経常利益51億円(〃)
・直営会場75会場(2006年10月現在)
・東証一部上場

市場を創り出す
創業者の野尻佳孝社長は、T&Gを立ち上げるに際して、結婚適齢期の女性がどんな結婚式を望んでいるのかを調べた。その結果、「一軒家をすべて借り切ってしたい」「プールのある大邸宅がいい」「大階段でフラワーシャワーを浴びたい」「花に囲まれたチャペルで愛を誓いたい」「料理は絶対、手作り本格フレンチで」…などのニーズがあることが分かった。
ところが、当時のホテルや専門式場の多くは、こうした個々の顧客ニーズに対応することよりも、サービスを画一化し、式場の効率を上げることを優先していた。その証拠に、1日に何組も似たようなスタイルの結婚式が行われていた。T&Gは、「顧客のニーズに対応できていない結婚式場ビジネスにハウスウェディングのコンセプトを持ち込めば勝算がある」と考えたのである。
先行逃げ切りのビジネスモデル
T&Gは、ハウスウェディングを一過性のブームに終わらせないためにどうするかを考えた。そして到達した結論が、ハウスウェディングを「ホテルウェディング」などと並ぶ新しい結婚スタイルとして確立することであった。具体的には、挙式披露宴の取り扱い数を短期間のうちに大幅に増やし、市場における認知度向上を目指した。同社の2006年3月期の挙式披露宴の取り扱い数は7945組。これは国内の単独企業としてはトップの取り扱い数である。
創業7年にして取り扱い数でトップ企業となった秘訣は、直営店の積極的な出店にあった。T&Gは2001年の株式上場後、「商圏人口30万人以上」「年間婚姻組数2000組以上」を基準に全国的に出店を加速させた。同社は、2007年3月までにさらに9会場を増設し、合計84会場にする計画である。
人口30万人以上の都市は、東京都を除くと国内に104都市しかない(全国市町村要覧平成18年版)。つまりT&Gは、マーケットが大きな都市にいち早く出店して、ハウスウェディングのシェアを獲得し、参入障壁を図る戦略をとってきたのである。
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