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ジェネリック普及を阻む要因

日本でジェネリック医薬品の普及が遅れている最大の原因は、ジェネリック医薬品メーカーの規模が小さいことにある。海外にはテバやサンドのように年商5000億円規模の企業が存在する。これに対して、国内のジェネリックメーカーは大手でも年商300億円に満たない。

医療機関や卸は、新薬メーカーとの取引を基準に考えるため、果たして小規模なジェネリック医薬品メーカーが製品を安定供給できるか、品質・薬効は大丈夫か、製品に関する情報を適切に提供できるか、などに不安感を持っており、ジェネリック医薬品の採用に熱心にならなかったのである。

国内に大手ジェネリックメーカーが育たなかった原因の1つに薬価制度が挙げられる。患者が医療機関などに「薬代」として支払う「薬価」は、国が公定価格として定める。この金額は、卸から医療機関への納入価格である「実勢価格」に妥当な調整額を加算して決める。従って、医薬メーカーが卸に安く売れば売るほど薬価は下がり、医薬メーカーの利益を圧迫する構図になっている。

さらに、調整額は高価格の新薬でも低価格のジェネリック医薬品でも同率(2002年から2%)に定められている。従って、卸は、薬価の高い新薬の扱いを自然と増やそうとする。その方が、利益が大きいからである。日本の薬価制度は、こと価格については、新薬メーカーに有利な制度であり、価格競争を阻む制度であったと言えよう。

沢井製薬の異例のマーケティング

沢井製薬の澤井弘行社長は、新薬メーカーが特許が切れた新薬でも卸への販売価格を下げないため、結果的に薬価が下がらず、いつまでたっても患者の負担が減らないことに強い不満を持ってきた。また、新薬一辺倒では日本の医薬業界が世界的な潮流に乗り遅れることに危機意識を抱いてきた。そして、厚生労働省、業界団体、マスコミに対して、ジェネリック医薬品の普及には薬価制度の抜本的改革がぜひとも必要だと訴え続けてきた。

しかし、一向にらちが明かないことに業を煮やした澤井社長は、ついに思い切った手を打った。なんと、一般国民に向かって、ジェネリック医薬品の啓発活動を展開したのである。澤井社長は、「良質なジェネリック医薬品の普及に努めることが当社の社会貢献だ」という信念に基づき、大半の役員の反対を押し切って、1997年からPR広告を開始した。

一般に、医療用医薬品メーカーのマーケティングは、MR(医薬情報担当者)による医療関係者への情報提供と、卸会社への販売促進が中心である。これに対して、沢井製薬は、本来であれば国が行うべきジェネリック医薬品の普及活動を行ったのである。

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