麻生首相に感じぬ問題意識 総選挙では改革論争を
(田中 秀征=福山大学教授)
2008年9月24日、麻生太郎内閣が発足した。福田康夫氏が首相に就任したのが2007年の9月25日だから、ちょうど丸一年での交代である。
首相の子が退陣して登場したのが、首相(吉田茂)の孫。閣内には他にも首相(鳩山一郎)の孫である鳩山邦夫氏がいる。そして首相の子は、小渕優子、中曽根弘文の両氏である。他の大半の閣僚も二世や三世の議員が占めている。
祖父や父を上回る人材がいない世襲内閣
これでは“究極の世襲内閣”と言われても仕方がない。
問題は、政界を見渡しても、その祖父や父を上回る人材がほとんどいないことだ。
福田赳夫元首相が前首相を上回る指導者であることは自他ともに認めるところだろう。また、戦後日本の軌道を敷いた吉田首相が、突出した指導者であることは、麻生新首相も認めているはずだ。
ほとんどの世襲政治家が、親を上回らないのなら、政治は全体的に著しく劣化していることになる。新首相はじめ世襲閣僚はまずそのことを深く認識する必要がある。
親や祖父たちが野に咲くタンポポだとしたら、そのおかげで地位を得た人たちは、いわば鉢植えのカトレアのようなもの。
原野で風雨に耐えて咲いたタンポポは、応接間の鉢で育ったカトレアとは違っている。タンポポはときには土足で踏まれる無残な体験を経て来ている。成長過程で見てきたものが、鉢植えの花とはまったく違うのである。したがって、鉢植えの花による政治判断や政策判断には、世情に疎いことによる欠陥が伴うことは避けられない。その欠陥をどうやって補うかが大きな課題であろう。
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