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日本人の観客に誇らしさ

ところで、もう一つ強い印象を受けたのは、多くの中国の人たちの前で、「日の丸」が掲揚され、「君が代」が演奏されたことだ。また、観客席でも大きな日の丸が振られていた。こんなことは終戦後初めてのことではないか。そう思うと、この北京オリンピックは日中関係において静かで大きな転換の局面だった気がするのだ。

中国の人たちからすると、今まで「日の丸」と「君が代」は日本軍国主義の象徴のようなものであっただろう。今回のオリンピックを機会に、そんな感情が大きく変わればよい。

日本だけではなく、国旗や国歌は、過去の歴史がすべて盛り込まれているもの。

国旗を見て、過去の過ちの時代を反省し、輝かしい時代に誇りを感じればよい。国旗や国歌は多くの人たちに敬愛されればされるほど、思想的な偏りが薄められていくものだ。

テレビ画面で見た日本人の観客は、どこの国の選手に対しても健闘を讃える人が多かった。北京で日の丸とともに中国の旗も振って応援していた日本人に中国人は深く感動したという報道もあった。それは東京オリンピックでも同じであった。他国の選手に対しても心から声援を送ることのできる日本人の観客に、大きな誇らしさを感じたのは私だけではないだろう。

田中 秀征(たなか・しゅうせい)

1940年長野県生まれ。東京大学文学部西洋史学科、北海道大学法学部政治学科を卒業。83年衆議院議員に初当選。93年6月に自民党を離党して新党さきがけを結成、代表代行。自民党時代は宏池会(宮沢派)に所属。細川政権の発足に伴い首相特別補佐。第1次橋本内閣で経済企画庁長官。現在、福山大学教授。「民権塾」主宰。

最近刊の「判断力と決断力」(ダイヤモンド社)をはじめ、「日本リベラルと石橋湛山」(講談社)、「梅の花咲く 決断の人 高杉晋作」(講談社)、「舵を切れ 質実国家への展望」(朝日新聞社)などの著書がある。

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