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安倍首相が掲げる郵政造反組の復党基準は猫でも越えられる

2006年11月9日

(田中 秀征=福山大学教授)

 細川護煕政権の発足に伴って首相特別補佐に就任。第1次橋本龍太郎内閣では経済企画庁長官として日本の政治を担ってきた田中秀征氏が、日々起こる政治、経済、社会問題を鋭く論評する。

安倍晋三首相は、郵政民営化造反組の復党問題について、首相の政策に全面的に従うことを条件に、前向きの姿勢を打ち出した。しかしこれだけでは世論の納得は到底得られない。

安倍首相にとっては実に悩ましい問題だが、考えようによっては独自の政策を展開する絶好のチャンスとも言える。

「私の所信に賛成する方々」(安倍首相)というような受け身あいまいなの復党容認基準ではなく、この際、より具体的で鮮明な政策を提起したらどうか。

例えば安倍首相の関心事項である「公務員の総人件費」の劇的削減について、数値目標を示して提示する(前回記事参照)。それに同調することも復党の条件にする。要するに、「改革の新しい段階」の象徴的な政策を具体的に示すのだ。

退陣以来沈黙を決めこんでいる小泉純一郎・前首相は、「造反組を復党させれば参院選に負ける」と警告した。他の問題ならともかく、この問題だけはこれからも黙ってはいない。場合によっては小泉前首相が安倍批判の急先鋒になる局面もないとは言えない。

どちらに転んでもプラスもマイナスもある。ならば筋を通そう

ところでこの問題は来年の参院選がらみで急浮上したもの。選挙に強い造反組を復党させれば、地方、特に1人区での勝利に弾みがつく。しかし、小泉前首相が心配するのは、そんな御都合主義的対応が大都市圏における支持者の大量離反を招きかねないこと。1人区で少しばかり議席を伸ばせても、大都市圏での得票が大きく目減りすれば、全体としては自民党の議席減を招く。その見通しは正しいと思う。

安倍首相は「小泉さんのまねはできない」と言っている。仮に復党を拒否すれば、参院自民党からの猛反発を招き、今後の政権運営に支障をきたすと懸念しているのだろう。

どちらにころんでもプラスもマイナスもある。「党員の声、国民の声を勘案しながら判断」(安倍首相)するのもいいが、それよりこの際、自らの政治信条に従って、高い政策ハードルを設けて正面突破してほしいものだ。それが「筋を通す」ことだろう。

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