建築基準を満たした校舎は倒壊しなかった
この原稿は書き始めてから一向に進まなかった。5月12日に四川大地震が発生してから、日を追うごとに地震で尊い命を奪われた人の数が増えた。26日の中国政府の発表によれば、死者は6万5080人に達し、負傷者は36万58人、行方不明者は2万3150人だという。
一番ショックを覚えたのは、小中学校の校舎の倒壊だ。生き埋めとなり、やがて幼い命の火ががれきの下で消えてしまう。毎日、テレビのニュースを目にする度に、涙が溢れ出て、大地震の被災者のために何かできないかと思い、被災者を応援するためのチャリティーコンサートを東京で開催する呼びかけ人となり、募金活動にかかわった。

5月25日の夕方に東京の六本木で開催したチャリティーコンサート

集まった募金は,中国大使館を通じて被災者に届けられた。出演者たちと一緒に合唱する崔天凱中国大使(中央)
しかし、それで心の痛みは消えない。なぜ幼い子供たちをこんなむごい目に遭わせなければならないのか。そう思うだけで、締め切りを迎えた原稿を書く気力を失い、殺人的なスケジュールに追われているのを口実に、原稿を出さないまま日がどんどん過ぎた。
私の心の痛みを理解してくれた編集者も沈黙を保ち、一度も原稿の催促をしなかった。プロの書き手としての私の自覚と責任感を信じ、辛抱強く原稿の仕上がりを待ち続けていた。
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