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IT長者が陣取るイメージが強い六本木ヒルズの高層マンションには、実はもともとその土地に住んでいた住民も多数居住している事実も知った。その後も広報担当者はまめに紹介資料を送ってくれる。知らず知らずのうちに、森ビルに対してはだいぶいい印象をもつようになった。

森ビルは、中国でもこのように企業活動を知らせる努力をしてほしい、と言いたい。日ごろの地道な努力が上海秀仕の件で批判を浴びた森ビルの名誉挽回になってくれるだろうと私は信じる。

企業に対する批判の対応は、広報活動に限らず日常の業務にも気をつける必要がある。このような例もあった。

三菱東京UFJ銀行中国現地法人の深セン支店で、現地に駐在している日本人の課長が、現地採用の中国人の部下を平手打ちし、中国人同僚約50人がこの課長の免職を求める事件が起きた。事件が起きたのは今年7月27日で、翌日には現地の新聞「南方都市報」紙でこの事件が報道された。当事者が南方都市報の記者に通報したからだ。同じ28日に、私は同紙のウェブサイトからこの件を知り、直ちに三菱東京UFJグループの中国法人の知人に善処するようにアドバイスした。

しかし、当初三菱東京UFJ銀行中国現地法人は、ことの大きさに気づいていなかったようだ。南方都市報によれば、同支店に駐在している別の日本人社員は「上司が部下を叩たくのは当然だ」と発言したという。この発言が本当なら,大きな問題だと指摘せざるを得ない。三菱東京UFJ銀行ではこのようなことが日常茶飯事で起きているとは思わないが、一般的には傷害事件やパワーハラスメント(上司によるいやがらせ)として扱われる重要な事件だと認識すべきだ。日本の金融機関に雇用されている現地中国人は、学歴が高く情報発信能力も長けているため、いざとなれば雇用主とも争うこともいとわない。

この件は、日本では7月30日に報道され、三菱東京UFJ銀行(中国)の柳岡広和頭取が同30日に北京から駆けつけ、100名以上の行員の前で暴力を受けた中国人行員に銀行を代表して謝罪し、日本人課長を解任した。そして、メディアからの取材も積極的に受け、銀行側としての措置を率直に説明した。

事件発生後の三菱東京UFJ銀行(中国)の速やかな対応を評価したい。その対応を一歩間違えれば大問題に発展しかねなかった。

三菱東京UFJ銀行の例に限らず、日本ではそれほど大きな問題でなくても、中国では複雑な民族間感情問題とも絡んで,大きな問題になることは結構多い。正当な批判を虚心坦懐に正面から対処に取り組んでほしい。

莫 邦富(モー・バンフ)

1953年中国・上海生まれ。上海外国語大学卒業後、同大学講師を経て、85年に来日。知日派ジャーナリストとして、政治経済から社会文化にいたる幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭(スネークヘッド)」といった新語を日本に定着させた。

「蛇頭」、「中国全省を読む地図」、翻訳書「ノーと言える中国」がベストセラーとなり、話題作には「日本企業がなぜ中国に敗れるのか」、「これは私が愛した日本なのか」、「新華僑」などがある。

最新刊に「mo@china 莫邦富・中国レポート」、「中国の心をつかんだ企業戦略」。現在、朝日新聞be(土曜版)にて「mo@china」を連載中。

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