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中国では批判を正面から受け入れることが重要

2007年8月20日

英国の金融紙フィナンシャル・タイムズは、中国語では「金融時報」と直訳する。同紙には中国語の電子サイトもあり、毎日、中国語圏の読者に翻訳記事も含めた大量の経済、金融関連の報道記事を伝えている。私もよくチェックする電子メディアのひとつだ。欧米のメディアが中国人読者にどのようなニュースを提供するのか把握したいというのが主な目的だ。

先日、フィナンシャル・タイムズ電子版にアップされたある記事のタイトルに目を奪われ、そのコラムを丁寧に読んでみた。著者は女性コラムニストのLucy Kellawayさんだ。Kellawayさんは7月上旬、ロンドンの会計事務所Deloitte(デロイト)本社から同社幹部との朝食に礼儀正しく誘われた。本人はすぐにピンと来た。デロイト社の就業規則をコラムの中で批判的に採り上げたからだ。本来は昼食の誘いだったが、Kellawayさんが遠慮したため朝食で妥協したのだ。

Kellawayさんの説明によれば、こうした場合、企業の幹部は例のコラムのことには触れないのが礼儀だ。幹部は礼儀正しい会話のなかでさりげなく会社の状況を紹介したり、または会社の長所などに触れたりする。会社をアピールする短い映像を見せる場合もある。これは欧米企業の批判者に対する広報工作だ。

このコラムを読んだ私は、あることを思い出した。

1996年、激しい対米・対日批判の内容で、中国国内でベストセラーになった書籍『ノーと言える中国』を日本に紹介しようと、北京を訪れ著者たちと会った。著者によると、この本が中国のメディアから取り上げられた直後、アメリカ在中国大使館の関係者から食事を誘われた。本の内容を批判するような言葉はアメリカ大使館員の口からはひとつも出なかった。執筆の意図をさりげなく確かめ、機会があったらアメリカを訪問したらどうか、と誘った。構えてレストランに赴いた彼らは肩透かしをくらった思いをしたが、アメリカ流の広報流儀の洗礼を受けた。

「日本大使館から和食の招待は来なかったのですか」と水を向けた。少なくともその時点までは、日本大使館関係者は彼らと接触していなかった。日本に戻った私は、外務省関係者にこうした中国の若者にも接触したらどうかと提案したが、その後彼らに会いに行ったかどうかはわからない。

しかし、少なくとも私の個人的な体験では、日本の企業、特に広報担当者はこうしたスマートな広報活動が不得手なように思う。1990年代の後半、中国ビジネスの現場で目にした日本企業の問題点を取り上げ、その改善を求めると、一部の企業から私はブラックジャーナリストまたはクレーマーだと見られてしまった。朝食どころが、「触らぬ神にタタリ無し」といわんばかりに、なるべく接触しないよう、これらの企業の広報担当者から敬遠された。その後、中国に進出した日本企業に対する私の報道活動やアドバイスが多くの企業から認められ、大勢の企業広報関係者と良好な関係を保つようになった今でも、これらの企業の広報担当者は依然として私を警戒しているようだ。

だが、中国でビジネスを進めるうえで、肝に銘じていることわざがある。「不打不成交」だ。直訳すれば、喧嘩をしなければ友だちになれないといった意味だが、雨降って地固まるということわざに近い。

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