地域差激しい中国消費財市場〜急拡大するエンタメ市場の場合
中国を“世界の工場”から“大規模な潜在市場”と見る意識が日本でも急速に広がっている。しかし、中国の市場は一言で表すほど単純ではない。地域によってまったく事情が異なる。その違いを理解しなければ失敗することもあるだろう。今回は急速に拡大しているエンタテインメント(エンタメ)市場を例に説明しよう。
ハリウッドが巨額の製作費をかけて作った商業映画は、中国では「大片」と呼ばれ、90年代の半ばから毎年かなりのタイトルが公開されている。近年はこうしたハリウッド系の商業映画だけでなく、ミュージカルも中国、特に上海で人気を博している。筆者が執筆している朝日新聞の連載コラムに、その人気ぶりを次のように紹介した。
「英国の作曲家アンドリュー・ロイド・ウェバーによる『オペラ座の怪人』が04年12月18日から翌年3月13日まで上海で上演された。この公演は中国演劇市場での三つの記録を作った。つまり3カ月足らずという短期間にもかかわらず、96回の公演、6500万人民元(約10億円)の売上げ、17万人の観衆動員を実現したというものだ。」
ここ数年で、『レ・ミゼラブル』『キャッツ』『ザ・サウンド・オブ・ミュージック』『ノートルダム・ド・パリ』『ライオン・キング』などのミュージカルの名作が相次いで上海で上演され、新しい物の好きな上海っ子の心を掴んだ。公演開始前に補助席のチケットまでが販売されたケースもある。『オペラ座の怪人』は99%の満席率を誇り、大きな話題にもなった。
ミュージカルの本場とされる英国や米国のほか、ドイツ、ロシア、香港も上海のミュージカル市場を狙い始めた。旅行業界に到っては、「上海でミュージカルを観劇することが上海旅行の新しい魅力になるのでは」と期待感を膨らませている。
先月、出張で北京を訪れて、宿泊先ホテルを保利大廈にしたところ、ホテルのロビーに巨大な「マンマ・ミーア」の宣伝ポスターが貼られていた。このミュージカルは今年7月5日から8月19日まで上海と北京で公演することになっているのだ。北京では、劇場施設も備えている保利大廈がその舞台となっている。
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