上海周辺から安徽省へ 労働力を求めて移転する生産基地
人口は日本の10倍以上の13億。しかも若年層が多く、人件費も信じられないほど安い。これは中国の労働市場を語る時によく耳にするセリフだ。しかし、無尽蔵に思えたこの中国でも近年、労働力不足が話題になっている。
広州と深圳に代表される珠江デルタや、上海と蘇州が先頭を走る長江デルタなどの沿海部地域だけの社会現象ではなく、すでに中部と呼ばれる地域でもその深刻さが語られるようになっている。つい数年前までは、求人広告を出せば地方出身の出稼ぎ労働者が殺到し、30人を募集するところに、300人以上もやってくることがざらだったが、そうした光景が、だんだんと見られなくなってきた。
ここ数年、外資系企業は中間管理層の人材確保だけでなく、一般の労働者、つまりワーカーの確保にも頭を悩ませている。ワーカーの給料を不当に低く抑えていた深圳など珠江デルタだけでなく、最低賃金や年金など法的に定められた従業員の報酬基準を比較的守ってきた長江デルタでも、あの手この手を打たないとワーカーを確保できなくなってしまった。
そんななかで、新しい模索が始まった。
これまでの外資系企業のワーカー募集手段は、たとえて言うならば「座商」のようなものだった。つまり募集側の自分は座ったままで、ワーカーが捜し求めてくるのをひたすら待っている、という方法であった。もっと分かりやすく言えば、外資系企業は投資環境などを吟味して、自分が一番納得できる地方を進出先として選び、そこに工場を作る。ワーカーたちはその工場を目指して遠くからやってくる、というものだ。
ところが近年は、一部の外資系企業は発想を換えて、行商人的な方法をとっている。ワーカーが集まりやすいところに工場を進出させるという方法を選ぶようになったのである。
工場を上海から安徽省の省都合肥市に移転させたユニリーバが、典型的な例である。06年末までに、ユニリーバの日用化学製品のすべての生産ラインが合肥の新工場で操業するようになった。これで、上海時代より全体の生産コストが30%も下がったという。フォーチュン500社に名を連ねている企業が沿海部から中西部に移転した最初の例として、ユニリーバのこの思い切った決断と行動が中国進出企業の大きな関心を集めた。
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