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日本人の中国での社会貢献(1)〜陰徳は察してもらえない

2006年12月11日

(原 奈緒=北京衆邦創業投資顧問事務所)

日本人の中国での社会貢献について、2回に分けて書いていきます、今回は、日本の政府や民間は中国に様々な寄付活動をしているが、それが一般の中国人に知られておらず、「陰徳が、中国では察してもらえない」という状況にあるということを指摘し、アピールの重要性を示唆します。次回では、逆に「陰徳」を貫き、中国人に感謝されるのを求めず、純粋に寄付活動を行いアピールも行わない、という選択もあるということを指摘していきます。

「陰徳」とは言うけれど…

2年近く前のことになりますが、中国で反日デモが発生したときに、出版業界に長い50代後半の日本人女性と話をする機会がありました。彼女が「戦争を後悔する気持ちから、日本の政府ばかりでなく民間も、今まで中国に多大な寄付や貢献をしてきている。それなのにデモが起こるとは裏切られた気持ちである。」と話したのが、強く印象に残っています。

彼女の話を聞いて、私は面白く思いました。我々日本人は社会貢献や寄付を“陰徳”と説明することが多く、そのため日本社会貢献はあまりアピールされず、表立って感謝を求めることもありません。とはいえ、彼女の発言で伺えるように、本心では“感謝”を求めているのだなあと、納得したからです。

日本の社会貢献は、中国では知られていない。

現時点で中国人から日本の社会貢献への“感謝”を求めることは、現実問題として難しいのではないかと私は思っています。日本の中国に対する社会貢献や寄付は、実は中国の一般大衆に知られていないからです。

中国のニュース番組や新聞で、日本の社会貢献や寄付が報道されることは、ほとんどどありません。例えば中国の宋慶齢基金が様々な活動を行っているのを報道などで目にしますが、その活動資金が日本の基金から流れていることは私も知りませんでした。北京空港や北京地下鉄が日本のODAで作られた事も、日本と接触のある中国人でも、知らない人の方が多いくらいです。

反日デモの直後、出張先から戻る遅延した飛行機内で、20代半ばの西安出身大卒プログラマーの男性に「日本の戦後謝罪」の問題について話を吹っかけられたことがあります。私は日本の対中国社会貢献の例を挙げ、「これだけ社会貢献をしているのに、まだ謝罪していないと簡単に言われてしまうのは残念だ。」と話をしたのですが、彼は北京空港や北京地下鉄が日本のODAで作られたこと、日本の民間が中国の砂漠で植林を行っていること、多くの日本企業が中国の大学に寄付活動を行っていることなどを、全く知らなかったのです。これが日本人や日本社会と接することのない中国人の現実の姿なのだと思います。社会貢献や寄付を知らない人達に、感謝を求めても無意味であると私は思うのです。

それゆえ「裏切られた気持ちである」と語る冒頭の日本人の彼女に対しては、本当に気持ちは理解できるし、私も全くその通りだとは思うのですが、「現実問題として中国の一般大衆は日本の社会貢献について無知なのだから、仕方がないのではないか?」と答えるしかなかったのです。更に「感謝を求めるのであれば、“陰徳”にしがみつかず、もっと日本の社会貢献や寄付活動をアピールする必要がある。」と私は考えています。

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