改革開放政策により欧米流の市場経済の流儀を採り入れた現代の中国は、北京や上海といった大都市を中心に、今や日本以上に競争の激しい社会となっています。万人の中から選ばれ就職や昇進の機会を得たり、巨万の富を短期間に築いたりする人がいる半面、苦労を続けても最低限の生活に甘んじる人もいます。そうした状況において、自分も選ばれたいと思う人たちの中には、嘘をついたり、誇張したりという行為を自己アピールの一手段として気軽にする人もいるのではないかと、私は考えています。
例えば学歴や職歴について嘘をつき、それがばれずに有名企業C社に就職した場合、学歴やそれまでの職歴は嘘であったとしても、「C社に就職した」ということは事実として残ります。嘘の履歴から本当の履歴が生まれ、自分の履歴を輝かすことができるのです。そのため、嘘をついてでも有名企業の良い地位を手に入れる必要があると考える人も出てくるのだと思います。
大学が運営する「卒業証書照会サービス」
偽の卒業証書や身分証明書が出回り、個人の履歴に嘘が多いことは、中国社会でも問題になっています。中国政府は「信用を重視する社会」を作り上げるために努力しています。例えば、政府機関は偽の身分証明証や卒業証書を販売する人たちの取り締まりに力を入れています。上述したニセ証明書売りが、1990年代後半までは街で盛んに見られたのに、2000年代に入って地下に潜ったのも、こうした取り締まりと関係があります。
また中国では近年、卒業生の照会システム作りを始めています。たとえば中国政府の教育省は、全国の公立大学や短大を2004年以降に卒業した学生を照会するWebサイト「中国高等教育学生信息網」を運営しています。個々の大学でも一部で同様のシステムを構築しており、例えば北京大学のWebサイト「本科卒業証書験証系統」では、1981年以降の卒業生を検索できます。Webサイトに対象者の卒業証明書番号と氏名を入力し検索することで、本人の照会ができます。このシステムを活用することで、学歴の真偽をある程度確認できるようになりました。
職歴は地道な確認が不可欠
ニセ学歴には一定の対処ができるようになりましたが、ニセ職歴を簡単に見破れるような便利なシステムはまだありません。
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