現代の中国では人々は更なる発展を望み、チャンスを手にするために、ネットワークを張り巡らせようとしています。様々な場所に顔を出し、ネットワークを築くのです。私も中国人の友人にその友達の集まりに誘われることがありますし、逆に中国人の友人と食事の約束をしていると、その友人が予告なしに、別の友人を連れてくることもあります。また中国の都市部では趣味の集まりも盛んなようです。「よく知らないけれども顔は知っている人」という存在は中国においても結構頼りになるもので、例えばそういった席で「仕事を探している」という話をすると、親切な人が仕事を紹介してくれるということがあるそうです。
したがって、中国における「紹介」は、「私はチャンスを与える。後は当事者に任せる」という意味のものです。そしてこのチャンスこそが中国の人々が欲しているものなのです。中国の人達は「チャンスがあればとりあえずチャレンジしてみたい」と常に考えています。こうした思考は、向上心にあふれ、積極的で素晴らしいものです。しかし逆にいうと、相手のスキルが期待する水準に達していなくても、果敢にチャレンジするケースも多々あるということです。
例えば中国で「日常会話程度の日本語力」を条件に中国人スタッフを募集すると、挨拶程度の日本語しかできない人たちが殺到するという話がしばしばあります。中国における紹介が「玉石混合」的なものになってしまうのも、理解できると思います。また紹介が気軽なものであるので、紹介される側が「紹介者の顔を立てなくては」とプレッシャーを感じないケースもあるようです。
判断するのは自分である
冒頭の投資の話に戻りますと、その後紹介者C氏のアレンジで、A社は日本を訪問したb氏に会ったそうです。A社としては、この席を合弁に向けた顔合わせと考え、高級レストランをセッティングしていました。ところがb氏は先に日本のある地方のメーカーを訪問しており、A社との懇談会の席にも地方メーカーの人を帯同し、我が物顔で振舞ったということです。それを見て、紹介者であるC氏が真っ先に怒り、席を立ったということでした。このことからも、C氏がb氏をよく知らないままに紹介した事実が理解できます。
しかし、だからといってC氏をいいかげんだと責めることはできません。むしろ中国の標準からすると、「他人に気軽にチャンスを与えることのできる、フランクで親切な方」と見るべきなのです。もしA社がB社と合弁し、失敗して大きな損失を蒙ったとしても、A社はC氏を責めることはできません。C氏はきっと「確かに紹介したのは自分だが、判断したのはあなたではないか」と反論するはずです。中国で最も重要なこと、最も求められていることは、最終的に判断するのは自分ということなのです。
中国では紹介が気楽に行われるので、「○○氏の紹介」というファクターを取り払い、自分の目で重ねて相手をチェックすることが必要です。そういった視点から、当社でも日系企業から、企業信用調査、社長の人物調査を依頼されることが多いです。さらには中国人の幹部スタッフ採用にあたり、その人物の調査を依頼されることもあります。客観的な調査を通すことで、紹介というファクターを取り、相手を別の面からも、冷静に見つめることができるからです。
中国においては、最終的には自分で判断することが常に求められています。そのために対象をいかに客観的に、冷静に見つめられるかが大切で、情報を広く取り入れることが必要だと、私は考えています。
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