中国鉄鋼業界もさらに大型化に
ばら積船運賃を左右するもう一つの要因、鉄鋼業界の動向を見よう。中国の製鉄業は世界最大で2007年の粗鋼生産量は4億8900万トンとなっている。上位70社だけが100万トン以上の生産設備を持ち、残りの何千社ともいわれる製鉄所は極めて小さい。トップの10社で36.79%、1億8000万トンを生産しているが政府は大国営企業が民間を含め小企業を統合するよう指導している。この点も造船業界と同じだ。
中国の場合どの業界でも過剰を承知で設備の増強、資材の手当てに走る。製鉄業では鉄鉱石の大幅な値上げを見越してブラジルやオーストラリア以外からもどんどん鉄鉱石を輸入している。中国の鉄鉱石の港湾在庫量は2008年5月には8000万トンに達している。これに悲鳴をあげたのは港湾側で、天津港などは他の貨物の荷下ろしに邪魔になるとして在庫料金の値上げを通告した。何れにせよ実需より多い鉄鉱石の輸入は当分続くであろう。
鉄鉱石の需要の急増が船の大型化を進めた
2007年の中国の鉄鉱石輸入量は3億8000万トンであり、2005年と比べて1億トン以上増えている。おそらく過去5年くらいで鉄鉱石の海上輸送の極端な増加は中国向けによるとみられる。積極派によると、2007年に中国の鉄鉱石消費量は全世界の半分近くなったが、今後同じ伸び率とみれば2015年には全世界消費の三分の二が中国向け、と強気の見方をしている。
従来は15万トン級のばら積船で「ブラジル(鉄鉱石)―東アジア―オーストラリア(石炭)―欧州―ブラジル」が日本の船会社の世界一周航路であったが、日本とブラジル間だけを最新の32万トンの超大型船で往復しても採算に乗るようになってきている。
ばら積船運賃はいずれ下がる
ばら積船運賃の基調は下げに転じていると筆者は見ている。運賃が高止まりしているのは、目下のところ原油相場の高騰によるものが影響している。投機筋は、原油は200ドルまで上昇と強気の見方をしていたが、実際は8月に入り115ドル前後で動いている。したがって、ばら積船運賃は特に極端な変化がない限り下げに向かう。
7月末には国際商品相場の基調が変わった。いすれは投機色の濃い金融相場から需給中心の相場になってゆくであろう。中国の過剰設備と原油・鉄鉱石などの輸入動向が当面気になる。
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