国内企業からも不評の労働契約法
今年に入ってから中国進出企業の最大の問題点として「労働契約法」(労働法)が指摘されている。この法律は2008年1月1日から施行されたものの未だ大まかな規定だけで施行細則は出ていない。したがって,法律に関してさまざまな解釈や情報が流れている。5月8日には実施条例の草案が出たが,まだまだ不明確な点が多い。
労働法の問題は,施行細則だけではない。企業の中国進出を妨げる新たなリスク要因として浮上してきており,労働法の一部手直しが迫られている。
今どき終身雇用を保障
労働法の解釈でもめている条文は,「10年以上の継続勤務者、期限付き契約を2度締結していて継続を希望している勤務者とは無期限労働契約を結ばなければならない」という部分だ。期限付き契約を2回結べば,3回目からは必ず無期限の雇用契約(終身雇用)を締結しなければならないとも読めるし,従業員の希望によらなければ無期限の雇用契約は結ばないとも読める。
企業側は労働法の手直しを先取りして,長期勤務者に対しては一旦「自主退職」を促し、短期の(例えば3年)再雇用契約を結ぶよう迫っているところが実際に多い。労働者の権利を守るのが労働法のはずだが、実際には契約期限が来ていない従業員との労働契約を一方的に解除し,労働契約を再締結するといった手段を使い,法律の手直しがあるまで終身雇用契約を締結することを回避しているのだ。企業側は,法律の手直しによって終身雇用契約の条項はなくなると信じているようだ。
おそらく中国政府は,終身雇用が労働者の安定に最善の策と考えたのかも知れない。ところが,今までは中国での雇用契約における期間は1年が普通。世界的に見ても,転職によってキャリアを磨く制度が普通であるし,かつて終身雇用制度を保っていた日本でも過去の遺物になりつつある。
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