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一方でこの深刻な中国の環境問題に対し、環境ビジネスに対する商機を期待する向きもある。すでに60社ほどの日系環境ビジネス関連企業が中国での可能性を模索しているという。実際、廃プラスチック、鉄スクラップ、銅スクラップ、アルミニウム・スクラップ、古紙などの原材料や中古バッテリー、中古カラーTV、中古パソコン、中古液晶デイスプレー、中古CRTデイスプレーなどの中古家電、中古自動車などを回収して中国向けに輸出するリサイクル事業は確立している。

ただし、環境問題に対する中国の意識が以前より向上しているとはいえ、やはり中国での環境ビジネスは難しくリスクも大きい。中国で環境ビジネスに参入している香港Dunwell社のDaniel Cheng社長の経験も含めて中国環境ビジネスの現状を紹介しよう。Dunwell社は香港に化学廃棄物処理場と廃油リサイクル施設を有し、香港で出る廃油の90%を振動膜式分離装置で潤滑油に処理している。中国大陸には廃水処理システムの設計・建設・導入事業で進出し成功している。

地方は経済成長優先で環境は二の次、技術流失の危険も

今後伸びる環境ビジネスとしては、浄水・汚水装置、海水淡水化装置、節水型器具、水量計などの水関連、二酸化硫黄対策の排煙脱硫装置、集じん装置、自動車排ガス装置などの大気関連、焼却施設、廃棄物処理施設、リサイクル場などの処理施設関連、風力発電、太陽光発電などの新エネルギー関連、環境モニタリングなどのサービス関連など多岐にわたる。

筆者の印象では、確かに日本の環境ビジネスは進んでいるが、日本の高度成長時代から続く環境問題と現状の中国の環境問題とを比べると一概に同じであるとはいえない。したがって、日本の環境ビジネスは参考にはなるが実際に中国での事業となると問題はあると思う。特に気をつけなければいけないのは、日本の場合は洗浄資源となる水が豊富だが、中国は乾燥地帯で水がない地域が多いということを前提としなければならない。

まず指摘したいのは、市場競争の激化によって環境対策が後手に回ってしまったこと、生活水準の向上によって生活汚染による環境負荷が増大してしまったこと、さらに地方政府の経済成長一辺倒の考えが改まらないことなどが問題の解決を困難にしている。これまで中央政府も地方政府も本気で環境問題に取り組んでこなかったため、企業も本腰を入れて環境投資をしなかったことが敗因にある。「格差の解消は成長あるのみ」としてきた経済成長策に対し、環境対策は水を差し逆行する、という考え方は特に地方政府に根強い。

さらに追い討ちをかけるのが、中国側は環境問題にコストをかける必要性を感じていないにもかかわらず、日本の環境設備は機能が高すぎる分価格が高い、といった問題もある。中国政府高官は最近の環境技術の国際会議で技術ライセンスの無償化を発言している。環境ビジネスに参入して技術移転はしたものの、事業として成り立たないばかりか従来と同じく中国が国産化を始めれば単なる技術流失を起こしかねない。

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