低迷している中国株式市場、上場予定企業も敬遠
市場経済化が進む中で、株式市場の動向があらゆる面で主要なバロメーターとなるし、経済の実態を知る重要なファクターであることは言うまでもない。社会主義国である中国であっても例外ではない。中国では上海、深センに株式市場ができて10年たったが、その株価は下落傾向にある。2005年6月上旬の株価指数は1997年以来の安値を更新し続けた。筆者は、中国株式市場低迷の最大の要因はその構造上の問題であると強調したい。
上海および深センでの株式市場開設の意図は、国有企業の改革にあった。国費をつぎ込むよりは株式市場で資金調達を行ったほうが良いという理由である。国有企業改革、すなわち政治主導で生まれた市場なので構造的問題はそこにあるともいえる。一説によると上場企業の株式のうち約70%をいまだに中央政府や地方政府が保有しているという。これらは株式市場では流通していない“非流通株”である。
政府が保有している非流通株は一定の割合で市場で放出するという政策に変更はない。つまり株式供給が過剰気味であるのだ。追い討ちをかけているのが、反日デモを契機として中国におけるビジネス・リスクを世界中に印象付けてしまった。結果、国際資本の中国投資に陰りが出てきている。人民元切り上げを狙った投機資金を除くと対中直接投資は2004年後半から減少していると見られており、それに拍車がかかっている。
実は中国の株式市場が低迷しているのは投資側からの視点だけではない。上場を目指している当の中国企業からも敬遠されいる。政府の方針に沿って国有企業が株式会社化しても、企業側としては政府側が持っている非流通株の影響によって多くの制約があるというのが実態なのだ。これも市場の構造上の問題だ。
日本でも国有企業の民営化は政治の目玉になっている。ただし実態は“株式会社化”であって“民営化”ではない。国鉄の例を見れば分かるように経営トップに民間人が起用された訳でもなく、同じ役職員がそのまま引き継いでいる。その点では、国有企業の株式制の採用という中国流の表現が正しい。
香港貿易発展局の調査(2003年)によると、成長性が極めて高いと認められる中国大陸の非上場企業100社のうち68社は、香港での上場を目指すという。その理由は資金調達もさることながら、株式公開によって企業統治を改善できる期待がある、という理由を挙げている。
この点は非常に興味深く面白い点だ。中国企業の意識は、企業統治すなわちコーポレートガバナンスを確立するために、その基準が国際慣行に従っている香港で上場しようという発想なのだ。
つまり、目的は企業統治を確立することであり、その手段が上海や深せんではなく香港で上場するというわけだ。政府からのくびきから逃れ、より民営に近づく舵取りがしたい、そのためには香港で上場した上で企業統治を確立したい、という考えなのだ。
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