中国の狙いは独自の原子力発電技術の確立
しかし、中国政府の最終目標は、より多くのAP1000原子力発電所を建設することではない。三門、海陽の原子力発電プロジェクトを「第3世代原子力発電自主化委託プロジェクト」と呼んでいるように、中国がAP1000技術を導入する主な狙いは、一貫した原子力発電技術を自国で持つことにある。
現在、国内で稼動している11基の原子力発電ユニットは、5種類の異なる型式、10種類余りの国外基準を採用している。建造方式もさまざまで、秦山発電所の30万kWユニットを自主設計で建設したほかは、外国企業が元請けしたもの、フルターンキー方式で導入したもの、プラント輸入したもの、複数の国から調達して建造したものなどがある。
国務院原子力発電指導チームの湯紫徳氏は「われわれには統一基準も、知的財産権もなく、独自の原子力発電の技術基準体系もない」と嘆く。「わが国の原子力発電研究はフランスとほぼ同時期にスタートしたにもかかわらず、国際レベルとの差は今も非常に大きい」という。
しかし今、中国はかつてない大きなチャンスを目の前にしている。
過去20年間、世界の原子力発電事業は低調で、米国、ドイツ、イタリアなど原子力発電技術の先進国では、新規プラントが建設されることはなかった。しかし、中国の原子力発電所はほとんどがこの時期に建設されたものだ。
「技術面では欧米には及ばないが、中国には建設工事の経験がある」。いち早くAP1000型第3世代原発の建設をスタートさせたことも、中国が他国と競争する上で有利に働くと指摘する専門家もいる。
ウエスチングハウスの原子炉は、現在AP600とAP1000の2シリーズしかない。中国の目標は、技術を導入消化し、さらに技術革新を図って、知的財産権を有する独自の第3世代技術を開発し、シリーズ化することにある。
中国はすでに「国家中長期科学技術発展計画要綱」で、AP1000技術をベースとする中国独自の第3世代原子力発電技術の研究開発を重要項目に挙げている。この研究は2017年には成果が出るとみられている。
この研究は、AP1000型炉の出力を135万kW以上にすることを目指している。研究がさらに進めば、電力網のベース負荷の違いに対応して、より大出力の、あるいは小出力の原子力発電技術も開発される見通しだ。
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