このページの本文へ
ここから本文です

中国に進出できないiPhone〜アップルの強気路線が仇に、米国方式は通用せず

2008年2月8日

チャイナモバイルは先ごろ、アップルとの間で進めていたスマートフォンiPhoneの投入交渉を打ち切ったことを明らかにした。業界関係者によると、この二大巨頭の商談不成立の原因は、チャイナモバイルがアップルの提示した20〜30%という高いロイヤルティ比率を拒んだことにあるという。

iPodの時代を経験したアップルは自信満々だ。アップルは不人気のAT&Tと5年間に及ぶ独占販売契約を結んだ。iPhoneを使うためなら、ユーザーが一切の不便さに目をつぶると判断してのことだ。アップルの賭けは当たった。iPhoneの投入後、AT&Tは2007年第3四半期に前年同期比50%近い新規ユーザー増を達成した。AT&Tは、提携の見返りに、通信サービス料の一部をかなりの比率でアップルに還元している。アップルはiPhoneの1契約ごとに月3〜18米ドルのロイヤルティを得られる。iPhoneのユーザーはAT&Tと2年以上の契約を結ばなければならないため、アップルがロイヤルティから得る利益は、その携帯端末の販売利益を上回ることになる。

自信満々のアップルは、ついに同じく自信満々のチャイナモバイルと接触した。チャイナモバイルは米国の人口を上回るユーザー数を有し、高い株式時価総額と伸び率を誇っている。当然のことながらアップルにそうやすやすとは妥協しない。言い換えるなら、この強者対強者の構図が交渉をさらに難しくしたのだ。

利益獲得の面から見ると、ロイヤルティとは実質、提携する両者間で交わされる一種の金銭贈与だ。その成立には少なくとも次の二つの条件が必要だ。「条件1」は、支払側が提携によって得るプラスアルファの利益が、ロイヤルティの支払額を上回ること。「条件2」は、受取側がロイヤルティの支払いを受けた後の総利益が、提携しない場合の利益を上回ることである。

この二つの条件は、アップルとAT&Tの提携については完全に成立した。米国のモバイル通信市場は従来から通信事業者が主導しており、ユーザーは通信事業者を選び、その事業者から携帯端末を購入し、2年間のサービス契約を結ぶ。もし、途中でユーザーの気が変われば、高額な違約金を支払わなければならず、携帯電話も無効になる。従って、通信事業者が獲得した新規契約はすべて非常に貴重なものだ。

アップルとの独占契約によってAT&Tは多くの新規ユーザーを獲得した。AT&TのiPhoneユーザーの40%超が他の通信事業者からの乗り換えだ。もし、この人たちに他の選択肢があれば、大半はAT&Tを選択することはなかったろう。これが独占契約のメリットである。AT&Tは当然そのことを十分承知している。

また、アップル側から見ると、もしAT&Tと提携せずに契約をフリーにすれば、当然iPhoneの販売台数は増加するが、そこに二つの問題が生じる。まずはコスト面だが、現在iPhoneはGSM方式にのみ対応しており、米国のGSM通信事業者大手はAT&Tと市場シェア11%のT-mobileだけだ。従って、アップルが売り上げを拡大するには、別にCDMA対応の携帯電話を開発しなければならない。次に利益の面では、アップルは携帯電話を1台販売するごとに推定100米ドルの利潤があるが、AT&Tが支払うロイヤルティは200〜300米ドルで、契約をフリーにした場合の3、4倍の販売台数に相当する。これを比べれば、アップルは喜んでAT&Tと提携する。

(全 2 ページ中 1 ページ目を表示)

あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください

記事検索 オプション

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る