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教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書/ばるぼら著

2005年8月9日

(田邊俊雅@nikkeibp.jp)

日本のインターネットの黎明期、私は日経コミュニケーションという通信やネットワークをテーマにした雑誌の編集部に在籍していた。パソコン通信サービスのニフティとPC-VANのメールが直接やり取りできるようになったとか、インターネットを経由したら料金はかからないので一物二価ではないのか、などという記事を書いた覚えがある。NTTがOCNを始めるなんて話にも、ずいぶん誌面を割いたと記憶する。

その後は、ネット媒体に異動したりしながらも、インターネットを契機とした通信料金の見直し論議や、ADSLを中心としたブロードバンド・インフラの立ち上がりをメインのテーマにしていた。企業ネットや業界へ向いた、いわゆるB2Bのメディアだったこともあるが、いずれもインフラ的な側面からのアプローチであった。

「教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書」は、日本のインターネットの歴史について、誰が、どこのサイトで、どんなことをしていたか、という観点からまとめた本である。

私がテーマにしていたような、ユーザー数の変化やインフラのブロードバンド化、ISPの消長などという話はぜんぜん出ていなくて、「みんながインターネットでどう遊んでいたか」という話を年代順にその当時の流行のジャンルに合わせて延々と綴っている。

人の頭に刻み込まれる話は、インフラの話よりも、その上で何をしていたかである。そうは言っても、ネット上のコンテンツは、実際には儚いものである。サーバーのクラッシュで消えるもの、トラブルで二度と表には出てこないもの、経営が行き詰まって消えるもの、テクノロジが時代遅れになって使われなくなるなど、儚い理由はいくらでもある。それだけに、このような形で書籍としてまとめられたこの本には、むしろこれこそが「日本のインターネットの正史」と言えるだけの価値がある。

もちろん、インターネットで起こっていたことは、筆者のセンスでピックアップされてこの本に収められた事象だけではないだろうし、「『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』には載らない…」的な本もできなくはないだろう。また、本書に出てくる話は、仕事でインターネットを使っているだけでは、ほとんど接点のない文化、と言えるようなものである。インターネットの歴史というよりも、「ネット文化の歴史」を感じさせられるものである。

パソコン通信時代からの古参ネットワーカーには懐かしくてたまらないような話も多いだろうし、そうでない人には、自分の知らない世界がごく近くにこんなに展開していたことに驚かされるだろう。ネットの初心者には、一気に歴史を把握できるという効用がある。用語解説も、ツボを押さえている。事実関係や年表の詳細さや豊富なURL(当然、すべてのサイトに確認しているはず)などの裏に隠れた仕事量は、察するに余りある。労作であり、必読だと思う。

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書名:教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書
著者:ばるぼら
出版:翔泳社/価格2499円(本体2380円)
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