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若い頃は1日14時間しか働けなかった〜マネックス・ビーンズ・ホールディングスの松本 大 社長CEO

2005年11月29日

(日経ビジネスAssocie編集)

「40歳までは長時間仕事に打ち込め」。「日経ビジネスAssocie」2004年12月21日号のコラム「次世代リーダー指南塾」で、「ハードワークのすすめ」を説いたマネックス・ビーンズ・ホールディングス社長CEOの松本大氏。読者の大きな反響を呼んだ“異論”の背景にある体験的真実を語ってもらった。

入社9年は目の前の仕事に没頭せよ

松本 大(まつもと・おおき)
マネックス・ビーンズ・ホールディングス社長CEO

1963年12月19日生まれ。87年3月東京大学法学部卒業後、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券に。90年ゴールドマン・サックス証券に転じ、92年ヴァイス・プレジデント。94年ゼネラル・パートナー。99年4月マネックスを設立。2004年8月、日興ビーンズ証券と経営を統合、新会社の社長CEO(最高経営責任者)に。

社会に出て少なくとも9年間くらいは、義務教育期間のようなもので、ひたすら目の前の課題に没頭する時期だと思う。

義務教育の間は「何でこんな勉強をするのか」なんて疑問を持っても答えなど出てこない。でも、ここで勉強をやめてしまったら、その後のより高度な勉強はあり得ない。仕事だって一緒だ。「もっと自分に合った仕事があるはずだ」と言うのは9年くらい今の仕事に打ち込んでからでも遅くない。

かく言う僕も、仕事を始めたころ、隣の芝生が青く見えたことはある。でも、ある時ふと気づいた。「僕の目の前の芝生はとんでもなく広いじゃないか。まずはこれを刈ってからだ」と。

どんな仕事だってやり出せばキリがなくなるはず。例えば、仕事で必要な何らかの数字を調べるとしよう。その数字を知るだけなら、5分で済むかもしれない。でも、1時間かけて調べれば、その数字の背景や過去の推移など多くの情報が入手できる。そこまで調べた人と単に一つの数字を引っ張り出してきただけの人で、アウトプットに差がつくのは当然だろう。

「人間のもともとの能力に大きな個人差なんてない」というのが僕の持論だ。昔は修業が足りなくて1日14時間しか働けなかったが、今はもう少し働ける。こうやってひたすら経験を積むことで、自分の成長を実感してきた。それは今も変わらない。

経験による成長。ここにはある種のトリックも働く。仕事における交渉力や分析力には、経験値によって大きな差が表れる。より多くの経験をしたがゆえに、より適切な解が得られる。だが、多くの人はそう考えない。「あの人は能力が高い。少し高いポジションを与えよう」と考えてしまう。結果、大きな責任と裁量を持ち、よりハイレベルの経験が積める。そうして経験とキャリアが相互に作用して太っていく。

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