身体表現は技術、訓練で魅力的に
(日経ビジネスAssocie編集)
劇団第三舞台を主宰し、多くの俳優に接してきた鴻上尚史さんは、表情や声、体などを使った「表現」を鍛えることで、魅力的な人間になれると語る。具体的な表現を自分で考え、1日一つずつ地道に取り組むことを勧める。
多くの人は、服装や髪形といった外見にはかなり気を配るのに、表情や声、体などを使った「表現」には無頓着ですよね。僕は不思議でならないんです。自分を魅力的に見せるためには、表情や声、体などを使った表現はとても重要だと思いませんか。
日本人は、感情や気持ちが豊かになれば、こうした表現も自然に豊かになると思いがちです。いわば、言い方よりも中身が大切という考え方ですね。しかし、表現は“技術”だと考えた方がいい。訓練して磨けば、自分自身も光るようになるんです。

鴻上尚史氏
劇作家/演出家
1958年愛媛県生まれ、早稲田大学法学部卒。在学中に劇団第三舞台を旗揚げ。以後、多くの舞台作品の作・演出を手がける。ラジオのパーソナリティー、エッセイスト、テレビの司会、映画の脚本・監督など、幅広く活動中。5月には、自身が作・演出するプロデュースユニットKOKAMI@networkの舞台『恋愛戯曲』が開幕。公演の詳細はこちら。
では、どうすればよいか。基本はファッションセンスを磨くのと同じです。ファッションの場合、どんな服の組み合わせがよいのか、どんな色をコーディネートすればよいのか、あるいはどんな服が流行っているのか…これらをまず知識として知らないと話にならない。オシャレに関心ある人はちゃんと目配りしていますよ。そのうえで試行錯誤して、自分に合うファッションを見つけている。
表情や声などの表現も同じです。Aという表現をしたときに自分がどう見られるか。Bという表現をしたときに相手にどういう印象を与えるのか。これらをまず知らないといけない。そのためにはどんな表現ができるか具体的に考え、実際に自分で表現してみて、周囲の反応を見ることです。
声の例で説明しましょう。感情以外のどの要素を変えれば声が変わるのか、自分で考えて実践してみる。
例えば「大きさ」です。よく飲み屋で声が大きくて周囲に嫌われているおじさんがいるでしょう。本人は大抵、自分の話の中身が嫌われる原因と思っているけれど、本当の原因は声の大きさだったりする。本人がそれに気づいて声の大きさを変えられれば、嫌われなくなるはずです。ほかにも「高さ」「速さ」「間」「音色(声色)」など、声で変えられるところはいくつもあります。
そうやって、具体的に何をすればよいか考えたら、毎日一つのテーマを決めて実践してみる。いきなり全部やろうとしてはいけない。それはまず無理です。例えば、「今日のスピーチは歯を出して笑ってみる」「今日の会議は普段よりも声を大きくする」とかでいい。そうして周囲の反応を見てみる。好反応だったら「このシーンでこの表現は使える」と分かるでしょう。
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