「食物繊維プロジェクト」、仕掛人はキシリトール伝道師
(日経ビジネスAssocie編集)
消費者が何を求めているかを見抜き、その心を揺さぶるために、仮説や情熱をぶつけていく。斬新な商品やサービスを広く浸透させるカギは「対話力」にある。市場で弱小な存在だとしても、発想を大胆に切り替える「逆転力」で道を切り開くことができる。大きなムーブメントを巻き起こした仕掛け人に、その神髄を学ぼう。
“素材屋”が消費者まで結ぶ

ダニスコジャパン 藤田康人マーケティング ディレクター
2005年4月、ロッテやアサヒ飲料、敷島製パンなど6社が共同して「食物せんいプロジェクト」を立ち上げた。それぞれの企業が食物繊維を含んだ製品を発売し、バランスよく食物繊維を摂取してもらおうという取り組みである。
6社がそれぞれ発売したお茶やチョコレートなどの製品には、現代人の1日平均の不足分と言われる6グラム以上の食物繊維が入っている。つまり、これらの食品を毎日取り続ければ、不足分の食物繊維を補える。1つの製品だけしかないと飽きてしまうが、複数の企業が参加して製品を増やせば、飽きることがなくなる。
直接のライバルではないにしろ、食品を扱う企業同士が手を取り合うという試みは極めて珍しい。それが実現できたのは、この取り組みを仕掛けたある人物の功績が大きい。デンマークの食品素材メーカーであるダニスコの日本法人、ダニスコジャパンのマーケティングディレクター藤田康人さんだ。
ダニスコは機能性のある食品素材を取り扱い、食物繊維を各メーカーに卸している。つまり、原料メーカーが主体となって実現したプロジェクトなのだ。
「原料メーカーだから原料を売ってしまえばそれで終わりというのは無責任。販売先の商品が最終的にお店で消費者に選ばれなければ意味がない」と藤田さんは強調する。そこで、本来なら販売先のメーカーが行うようなプロモーション活動を主体的に行った。
「これまでは素材メーカーと販売先の最終商品メーカーの『B to B(企業間取引)』関係と、最終商品メーカーと消費者間の『B to C(消費者向け取引)』関係は別物と考えられていた。でもこれからは、素材メーカーから消費者まで一貫した『B to B to C』を考えなければならない」。
素材の効能を消費者に浸透させるには、川上にいる素材メーカーが市場に働きかければいいというのが藤田さんの考えだ。ただし原料を1社だけに持ち込んでもインパクトは弱く、ブームにはならない。藤田さんは、「様々な商品を展開すればプロジェクトの認知度は格段に高まる」と飲料メーカーや製菓企業の担当者に説き、複数の企業を巻き込むことに成功した。
next: キシリトールの成功体験が生きた
(全 3 ページ中 1 ページ目を表示)
あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください
この連載のバックナンバー バックナンバー一覧へ 画面先頭に戻る
- ヒットの決め手は既存品の中にある (2006/01/05)
- “巣鴨詣”が商品化のカギ シンプル携帯「ツーカーS」 (2005/12/22)
- “インディーズ豆腐”がクチコミでメジャーに (2005/12/15)
- 「食物繊維プロジェクト」、仕掛人はキシリトール伝道師 (2005/12/08)
- 「アルビレックス新潟」、熱血サポーター誕生秘話 (2005/12/01)

