さて農家レストランは、農林水産業の付加価値化を占う存在でもある。というのも農林水産業の世界では、近年「第6次産業化」が大きな課題になっているからだ。第6次産業とは、生産を担う第1次産業に、加工を担う第2次産業や、流通や販売などを担う第3次産業を足しあわせる(あるいは掛け合わせる)ことを意味する。本来は第2次・第3次産業が得ていた利益を、第1次産業に取り込もうとする試みとも言える。宿泊・直販・体験・飲食を提供する農家レストランは、第6次産業を象徴するような業態といえる。
また農家レストランには、高齢の農村女性が活躍できる場所という側面もある。農林水産省が昨年11月に発表した「農村女性による企業活動実態調査」によると、2006年度に農村女性が農家レストランや農家民宿などを起業した件数は1039件にのぼる。これは生産や加工などを含めた全起業の11.0%に相当する。従事者の平均年齢(生産・加工業種も含めた平均)は60代が4割強を占める。
だが農家レストランは歴史の浅い業種であるため、その経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)であることも多い。例えば前述の調査によれば、農村女性の経営起業における売上金額は、6割弱の件数において300万円未満の零細規模に留まる。農家レストランを経営する女性の中には「自分自身のやりがいのため」「農村生活を楽しみたい」などの理由から、収入を二の次に考えている人もいる。
このような実情は、農村地域における連携体制の不足が生み出しているという側面もある。地域や情報をまとめるための人材、起業を支援する体制(経営やマーケティングに関する支援など)がいまだ不十分なのだ。農家レストランが、地域の小さな試みで留まるのか、農業の付加価値化を担う大きな存在になるのかは、支援体制の充実如何に掛かっていると言えそうだ。
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