「農家レストラン」

(もり・ひろし=新語ウォッチャー)

イラスト:小林商事

グリーンツーリズム(農山漁村での余暇)や地産地消などの概念が普及するのに伴い、農家レストランという業態が注目されている。これは農家自身が経営や調理にあたるレストランのこと。自作または地元産の食材を用いた料理を提供して、土地の文化を体験してもらう試みだ。現在全国にはこの種のレストランが1000軒以上ある。これらは農業の付加価値を高めるという観点からも注目の存在だ。

日本では最近15年間でグリーンツーリズムが普及しつつある。これは都市住民が農山漁村に訪れ、農林漁業の体験などを通じて土地の文化に触れる余暇活動を指す。この概念は元々欧州で1970年代に広まったもの。日本では1991年にバブル経済が崩壊して地方でのリゾート開発が頓挫。これに代わる地方振興策として同概念の注目度が高まった。農林水産省がモデル事業を始めたのは1993年のことだ。

このグリーンツーリズムを構成する要素はいくつかある。例えば土地に滞在するための「宿泊」、農林水産物を買って楽しむ「直販」、また農林水産業を実際にやってみる「体験」などがある。これらの中でも特に集約的な要素が「飲食」だ。宿泊者も非宿泊者も気軽に利用でき、場合によっては農林水産物の購入も可能で、体験会なども楽しめる飲食施設は、グリーンツーリズムの集大成的な存在でもある。

いっぽう最近では地産地消の概念も普及しつつある。地産地消とは地域生産・地域消費を略した言葉。近年、食の安全や安心に対する消費者の関心が高まっていることから、注目を浴びている。似たような現象は、日本のみならず世界各地でも発生している。イタリア発祥のスローフード運動も、伝統的食材やその生産者の保護を目標に掲げる。

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