「ユースオリンピック」

(もり・ひろし=新語ウォッチャー)

イラスト:小林商事

国際オリンピック委員会(IOC)は2010年から新しい国際大会を始める。ロゲ会長の肝いりで開催する「ユースオリンピック(ユース五輪)」だ。同大会に参加できるのは14歳以上18歳以下のアスリート。開催の目的はスポーツ離れを食い止めることや、教育や交流の場を提供することにある。ただし大会の新設に当たっては、日程や費用などの点で解決すべき問題も多い。

ユース五輪は現IOC会長のジャック・ロゲ氏が提案した大会だ。ロゲ会長は欧州五輪委員会の会長だった2001年に「欧州ユース五輪フェスティバル」を創始。2001年にIOCの会長に就任すると、その世界版である「ユース五輪」の開催も提案した。そして昨年のIOC総会でユース五輪の開催を正式決定したのだ。IOCが新大会を創設するのは、1924年開始の冬季五輪以来のことになる。

ロゲ会長がユース五輪の開催を望んだ理由は主に2つある。

第1の理由は、若者のスポーツ離れを食い止めることだ。この問題は国内でもよく話題になるが、実は日本に限った現象ではない。背景として考えられるのは、趣味や娯楽の多様化だ。特に世界では、この問題を「若者の肥満」と関連づけて論じることが多い。ロゲ会長は、この傾向を防ぐ手立てとして新大会を捉えているようだ。

そして第2の理由はドーピングとの戦いにある。現在スポーツ界ではドーピングの撲滅が大きな課題。その対処方法として、これまでは取締りを重視していたが、今後は教育も必要だと言われている。実際2005年にユネスコ(国連教育科学文化機関)で採択されたアンチドーピング条約(2007年2月発効)でも「教育の実施」という項目が盛り込まれている。

このような問題に対応する手段として、ロゲ会長は五輪精神の啓蒙が有効だと考えているようだ。近代五輪の創始者であるクーベルタン男爵は、五輪精神をこう定義している。「スポーツを通して心身を向上させ、さらには文化・国籍など様々な差異を超え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献する」(JOCのウェブサイトより)。

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