さて数あるバイオディーゼル原料(菜種やヤシなど)の中で、なぜヤトロファが注目されるのだろうか? それはヤトロファが持つ3つの利点に秘密がある。

第1の利点は種が「非食用」である点だ。ヤトロファの種には毒性がある。この特性を利用して農地の防護柵として利用されるぐらいだ。このため食糧との競合が起こらず、食糧高騰などの副作用を起こしにくい。

第2の利点は「痩せた土地でも育つ」点にある。この樹木は水が少なかったり、砂や塩などがあったり、そもそも栄養素が足りないような土地でも育つ。これは従来的な農地との競合が起きないことを意味する。したがって、他の作物を押しのけてその作物の生産量を減らしたり、森林を伐採して農地を作るようなことが起こりにくい。

そして第3の利点は「育てやすいこと」にある。増殖は挿し木で可能。一度植えると3年から5年で開花が最大となり、その後30年から50年は種を作り続ける。また毒性もあるため虫に食い荒らされることもない。このため農業技術が未成熟な地域においても、比較的安い初期投資で生産を手掛けることができる。

まとめるとヤトロファは「食糧との競合がない」「農地との競合もない」「簡単に栽培できる」という意味で有用だといえる。

そこで国内外で、ヤトロファの栽培や燃料利用を模索する動きが盛んになった。

国内では農家やNPO(非営利組織)などが、独自にヤトロファの栽培に取り組む事例がある。特に日本の場合、減反政策で生じた休耕地が存在するため、その有効活用を図ろうとする目論みもあるようだ。ただし国内では比較的に育ちにくいこと(熱帯由来の植物であるため)と人件費が高いこともあり、事業化は困難であるようだ。

このためいくつかの日本企業は、ヤトロファの海外栽培を目指している。例えば日本植物燃料(東京都品川区)、びわこバイオラボ(滋賀県高島市)などの企業が、東南アジア各国でのヤトロファ栽培に取り組んでいる。いずれも現地法人と提携を結び、ヤトロファを現地で生産。粗精製または精製した油を輸入する計画だ。販路は地方自治体や漁業組合や運輸会社などを想定している。

前のページ 1|2|3 次のページ

あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください

「時代を読む新語辞典」 バックナンバー 一覧ページへ

ビジネスABC > 時代を読む新語辞典
RSSで最新記事を読む

PR