このほか香港では日本への地方チャーター便が増加。関東・関西のほか、北海道への訪問率も高くなっている。またオーストラリアでは日本へのスキー客が増加。特に北海道(ニセコ・富良野)や中部地方(白馬・志賀高原・妙高高原)の人気が高いという。
このように好調に見える日本観光だが、訪日観光客数は世界レベルで見るとまだ少ない。実際、2006年の外国人訪問者数ランキングでは、日本の順位は世界30位に過ぎない。世界で最も観光客を集めているのはフランスで7910万人。以下アジア地域では4位の中国(4960万人)や14位のマレーシア(1750万人)などが続くが、日本(733万人)の順位は遠く及ばない。少子高齢化で国内観光客の増加が見込めない中、日本は潜在的な顧客を見逃していることになる。
いっぽう日本の産業構造の中で、観光産業の位置付けは重要になりつつある。2006年の国内旅行消費額は約23.5兆円。交通・飲食なども含めた生産波及効果は52.9兆円となり、これは国内生産額の5.6%に相当する数字になる。また雇用誘発効果は442万人で、全就業者数の6.9%となる(参考:国土交通省「平成19年度観光の状況」)。外国人観光客の誘致を含め、観光産業をいかに育成するのかが、産業界全体にとっても課題になっている。
そこで政府は「観光立国」の推進に動いている。2007年1月には観光立国推進基本法を施行。同年6月には同法に基づく基本計画も閣議決定した。この計画で「訪日外国人旅行者数を1000万人にする」「観光旅行消費額を30兆円にする」などの目標も掲げている。また今年10月には国土交通庁の外局として観光庁も新設する。省庁スリム化の流れの中、敢えて新組織を設けることの意味合いは大きい。
このような体制の中で、魅力ある観光コンテンツを育てることも課題となる。例えばアニメ・マンガ・ファッションなど、日本のサブカルチャーに興味を持つ外国人は多い。地域毎に異なるニーズを的確に把握しながら、そのような文化に触れられる観光コンテンツを提供することは重要になる。
もちろん民間では、商機を逃さないための対応が進んでいる。特に中国人富裕層への対応は素早かった。有名なのは、中国で一般的なデビットカードである「銀聯(ぎんれん)カード」の導入だろう。百貨店・家電量販店・ホテルなどを中心に国内加盟店はすでに1万店を超えた(世界では74万店超)。また小売店の中には、観光客向けの通訳を置いたり、旅行会社を通じて優待券を配布したりするところもある。
政府の観光立国行動計画(2003年)には「工業立国や貿易立国などへの一辺倒からの脱却」との言葉もある。日本の産業が、ハードだけでなくソフトも重視できるかどうか。まずは観光産業が試金石となる。
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