「里帰りウナギ」
(もり・ひろし=新語ウォッチャー)

イラスト:小林商事
土用の丑に当たる7月24日、全国各地のスーパーは、蒲焼きの販売で国産重視の戦略をとった。これは相次ぐ産地偽装問題で、海外産ウナギに対する不信感が高まったことが背景にある。このような不信感を象徴する言葉が「里帰りウナギ」だ。国産の幼魚を海外で育成して逆輸入するこの手法。実は合法的な国産表示が可能であることから、業界の中で横行していた手法だという。日本人の国産志向が、ウナギのいびつな販売方法を生み出したとも言える。
話の前提として、養鰻(ようまん:ウナギの養殖)の概略を記しておきたい。
養鰻は、まず稚魚であるシラスウナギを捕まえるところから始める。現状、卵からの養殖技術は商業化されていない。外洋で孵化したウナギは、シラスウナギ(重さ0.2グラム程度)に成長したところで東アジアの沿岸に到達。養鰻業者はそれを捕獲して成魚の段階(重さ200〜300グラム程度)まで育てる。
現在国内で流通するウナギの8割弱は外国産の養殖物だ。去年(2007年)の例で見よう。国内流通量は約10万3000トン。99%以上は養殖物だ。そしてこのうち62%を中国が、22%を日本が、そして15%を台湾が生産している(参考:財務省貿易統計など)。他の食品の例に漏れず、ウナギの自給率は低い。
輸入の歴史は案外古い。特に台湾からの輸入は20年以上も続いている。また1980年代後半からは、経済成長の著しい中国も存在感を増した。2000年ごろには両方からの輸入量が13万トンを超えたこともある。台湾や中国では、土地代・人件費・燃料費・餌代などが安いため、市場優位性が高い。結果として安価なウナギが市場に出回ることになり、日本ではウナギが高級食から一般食へと変化した。
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