「ガラパゴス現象」

(もり・ひろし=新語ウォッチャー)

イラスト:小林商事

最近、情報通信系メディアで、「ガラパゴス現象」との表現が頻出している。日本企業の技術やサービスが、日本市場の中だけで高度に発展してしまう様子を言う。その間、世界市場では標準的な技術やサービスが普及。日本企業の技術やサービスが特殊化する。その結果、日本企業の海外進出が難しくなるばかりか、日本市場の危機も招いてしまうというのだ。

話の前提として、ガラパゴス諸島について振り返りたい。ガラパゴス諸島とは、南米エクアドル沖の太平洋上に浮かぶ群島のこと。大陸と離れた環境なので、ここには独自の進化を遂げた生物(固有種)が数多く存在する。例えばガラパゴスゾウガメやウミイグアナなどは、この地域にしか存在しない。

ところがこのような固有種は、外界と接触することで危機にさらされる場合がある。実際ガラパゴス諸島でも、人間の流入が原因で固有種の絶滅危機が起こった。例えばガラパゴスゾウガメは、18〜19世紀の乱獲(捕鯨船の食糧確保)などが原因で個体数が激減している。

絶滅危機への過程は次のように説明できる。まず内界では「特殊進化」が起こる。だがその間、外界では「一般進化」も起こる。そしてある時期に内界と外界が接触。内界の生物は外界に適応できないため、絶滅の「危機」に瀕する。外界の生物の方が数も多く、生存競争に強いからだ。これをまとめると「特殊進化」と「一般進化」のぶつかり合いが「危機」を生む構図となる。

実はこれと全く同じ構図が、日本の情報通信産業に当てはまる。日本国内で技術やサービスの「特殊進化」が起こる一方で、世界では「一般進化」が起こっているという構図だ。その結果、日本企業は世界市場に進出できないばかりか、日本市場を失いかねない「危機」にも直面する。

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