食糧自給率の低下は様々な問題を引き起こす。例えば、国際情勢の変化によって農産物が輸入できなくなると、食糧危機が起こるかも知れない。また農地が減ることで、国土保全機能(保水やCO2吸収などの機能)が失われる可能性もある。さらには食料の輸入(輸送)自体に、多大な環境負荷が生じる。
そこで政府を中心に、米粉を食糧自給率の向上に役立てようとする施策が始まっている。例えば2005年には、農水省と食品関係団体が共同で「全国米粉食品普及推進会議」を設立した。また今年5月7日には、政府の食料・農業・農村政策推進本部が「21世紀新農政2008」を発表。食糧自給率の向上のため、米粉などを積極活用することを明言している。
地方自治体にも同様の試みがある。日本有数の米所である新潟県では、今年度からR10プロジェクト(Rice Flour 10% Project)を展開中だ。同プロジェクトを通じて、小麦粉消費量の10%以上を米粉に置き換えることを全国に向けて提案している。
実は最近の小麦価格の高騰も、米粉普及の契機となった。今年4月、政府は輸入小麦の売り渡し価格を30%値上げした(注:政府は国内産小麦を保護するため、輸入小麦を一括購入した上で製粉業者に販売している)。これにより小麦粉と米粉の価格差が縮小することになった。詳しい統計データはないが「従来2倍以上あった価格差が、2〜3割の価格差に収まっている」との指摘もある。
もっとも、米粉普及の施策を過大評価しないことも必要だろう。学者の中には「米粉普及による自給率向上効果は、39%からの1ポイント増でも成功」と見る人もいる。新潟県のR10プロジェクトでも「目標値は39%からの2ポイント増」としている。自給率向上に本気で取り組むなら、他にも強力な施策が必要となる。
米粉の普及は、料理文化の多様化という意味でも意義深い。食生活の選択肢が増えて、食糧自給率の向上にわずかでも役立つのであれば、それは悪い話ではないだろう。今後、米粉にどのような応用例が登場するのか注目したい。
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