「運転経歴証明書」

(もり・ひろし=新語ウォッチャー)

イラスト:小林商事

高齢運転者による交通事故を防ぐため、1998年から運転免許証の自主返納制度が始まった。この制度を利用した人に対し、都道府県警は2002年から「運転経歴証明書」を発行している。最近ではこの証明書を提示した高齢者に対し、特典を提供する小売店や飲食店なども増加。免許返納を促す仕組みづくりが進んでいる。だが事故対策の手法として、運転経歴証明書の仕組みには不十分な点も多い。

高齢運転者による事故は最近10年で2倍以上に増えた。今年2月、警察庁は「平成19年中の交通事故の発生状況」を発表。これによると原付以上の車両の運転者による事故件数(死傷者数を含む)は、若者(16〜24歳)の場合、19万7000件(1997年)から13万3000件(2007年)まで減った。ところが高齢者(65歳以上)の場合、4万9000人から10万3000人まで増えている。つまり「絶対数」だけ見れば、高齢者による事故数が激増しているのだ(絶対数を強調した理由は後述する)。

そこで近年の交通行政では、高齢運転者の事故防止が大きなテーマの1つになっている。最近10年の間に、具体的な施策もいくつか始まった。

中でも有名なのは、高齢運転者標識だろう。一般には「紅葉マーク」や「高齢者マーク」などの呼び名で知られる。これは高齢運転者の保護を目的に1997年に導入したもの。現行の道路交通法では、70歳以上の運転者は同マークを掲示する「努力義務」を持つ。周囲の運転者が掲示車に幅寄せや割り込みをした場合、交通違反となる。今年6月には、改正法の施行に伴い、75歳以上の掲示が「義務化」される予定だ。

前のページ 1|2|3|4 次のページ

あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください

「時代を読む新語辞典」 バックナンバー 一覧ページへ

ビジネスABC > 時代を読む新語辞典
RSSで最新記事を読む

PR