導入企業には、裁判員制度に関する啓蒙活動を行うところもある。例えば社員に対して裁判員制度の概要を解説した小冊子を配ったり、社内で裁判員制度に関する説明会を実施したりする。
ただ休暇制度を整備しても、運用上の心配は残る。そもそも休暇制度の有無にかかわらず、仕事から抜けること自体が難しい人もいることだろう。辞退理由を巡って、従業員が企業と裁判所の板挟みになる可能性も否定できない。
また企業によって、制度にばらつきが生じていることも問題だ。とりわけ裁判員休暇の期間中に「企業が従業員に対して給与を支払うかどうか」は重要な問題だ。裁判所は裁判員に対し1日あたり最大1万円の日当(および必要な場合は交通費や宿泊費)を支払うことになっている。そこで、同制度を導入した企業の中には「裁判員には日当が支払われるから給与は支払わない」とするところもある。
いっぽう中小企業は裁判員休暇どころではない。中小企業は人員が少ないので、制度参加が「死活問題」につながる可能性がある。東京商工会議所は昨年12月に「裁判員制度に関するアンケート」の結果を発表。これによると「3日程度であっても従業員を裁判員に参加させることが困難」とする企業は5%あった。従業員数が10名以下の企業に限ると、この数字が8.6%にまで増える。
昨年の有権者数1億355万人と該当事件数3111件から単純計算すると、裁判員制度に参加する人の割合は、裁判所に呼ばれる場合で年間330人から670人に1人、裁判員か補充裁判員に選出される場合で4000人に1人となる。これが「生涯を通して裁判員や補充裁判員になる割合」となると(諸説存在するが)およそ100人に1人となると言われる。これは企業にとっても個人にとっても、他人事とはいえない確率であるに違いない。制度が始まる来年5月に向け、官民で様々な取り組みが進むことになる。
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